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南海トラフ地震発生で高まる「富士山噴火」のリスク 噴石、溶岩流に加えて火山灰が引き起こすハイテク社会への大ダメージ

NEWSポストセブン / 2024年8月20日 7時15分

「噴火によって様々な大きさの岩の塊が放出され、上空から猛スピードで降ってきます。直径1m以上の大型の噴石が火口から2kmほどの範囲まで飛んでくる。噴石は屋根や壁を貫通し、建造物を破壊します。人間に当たれば死亡するケースもある。2014年9月に起きた御嶽山の噴火では60人近い登山客が犠牲になりましたが、多くの命を奪ったのは噴石でした」(鎌田氏)

 夏の時期、多くの登山家や観光客で賑わっているだけに、深刻な被害が懸念されるわけだ。

 噴石は静岡県、山梨県に留まるとされているが、高温のマグマが液体のまま地表に流れ出る「溶岩流」はより広範囲に及ぶ。

「富士山火山防災対策協議会」は、2021年3月、噴火時のハザードマップ(火山災害予想図)を2017年ぶりに改定。想定される溶岩の噴出量は約2倍に増えた。2004年版のハザードマップでは溶岩流の到達範囲は静岡県と山梨県だけだったが、2021年版では神奈川県の相模原市や小田原市まで到達するとしている。

「溶岩流は最短2時間15分で東名高速に到達するとされている。そうなれば東西を結ぶ日本の大動脈が分断されます」(同前)

 最も被害が広範囲に及ぶのは「火山灰」だ。

 図の通り、火山灰は千葉県や埼玉県まで到達し、富士山周辺地域では50cm以上、東京や横浜でも2~10cm降り積もる可能性があるという。

「上空には偏西風が吹いているので東へ飛んでいくのが普通ですが、夏は風向きが変化しやすいので、全方向に散るでしょう。火山灰というのは、いわば“ガラスの破片”です。吸い込むと器官や肺が傷つけられ、呼吸困難や肺気腫を起こすケースもある。目に入れば角膜が傷つけられます。

 現代のハイテクノロジー社会にも大敵です。細かな火山灰の粒子が電子機器やコンピューターに入り込んでしまうと正常に作動しなくなり、通信や金融など様々な産業に打撃を与えます。道路上に1cm積もるだけで車の運転も不可能になる。富士山の東には羽田空港などがあるので、火山灰の量次第では空路が利用できなくなる可能性もあります。そうしたリスクがあるということを頭に入れておかないと、有効な対策を講じることはできません」(同前)

 リスクは地震だけではないのだ。

※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号

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