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《サンシャイン池崎の企画が人気に》『みんなの動物園』が保護猫の企画ばかりでも“感動ポルノ”と言われない理由

NEWSポストセブン / 2024年8月24日 7時15分

 一方の制作サイドも保護猫・犬の企画をしっかり時間をかけたドキュメントとして放送。長期にわたって密着し、大量の映像を編集して保護活動の本質的なところを伝えようという姿勢を見せています。預かりボランティアの企画は出演者の負担が大きい構成・演出ですが、スタッフも地道な努力を重ねていることが視聴者にも伝わっているのでしょう。

 さらに、預かりボランティアをするタレントに芸人をキャスティングしていることも批判を受けにくい要素の1つ。猫・犬への愛情をベースにしながらも、ほどよく笑いを加えることでシリアスなムードになりづらく、保護活動そのものへのイメージアップに貢献しています。時にテレビは制作姿勢が「ごう慢」などと批判されますが、『みんなの動物園』は「保護活動のお手伝い」というわきまえた立ち位置で制作しているのでしょう。

“感動ポルノ”と批判されるケースで多いのは「勝手に『かわいそう』などのレッテルを貼る」というケースが多いだけに、「動物のかわいさを見てもらいながら明るく楽しい映像にしていこう」という番組のスタンスは正しいように見えます。

保護企画に過剰な構成・演出は不要

 そしてもう1つ重要なのは、『みんなの動物園』が積極的に保護活動への支援を求めているわけではないこと。

たとえば、積極的に譲渡希望者を集め、募金などを求めるなどのシーンはなく、保護活動全体に強い影響を及ぼすようなことは避けているように見えます。譲渡会にたくさんの人が集まればいいというわけではないため、「何百人も集まった」などと大きな数をアピールしてドラマティックに見せようとしすぎることはありません。

 それでも警戒心が強かったところから、少しずつ人になれてかわいい姿を見せ、譲渡会での出会いを経て、優しい飼い主に迎えられる。そして、預かりボランティアとの別れ……という流れは十分に感動を誘うものがあり、そもそも過剰な構成・演出は不要なのでしょう。

また、『みんなの動物園』がメインでフィーチャーしている猫は飼育数で犬を大きく上回るなど、いくらかの視聴率対策も見えますが、特に問題はなさそうです。

最後に番組全体にふれると、保護猫・犬以外の企画は、まれに「カルガモのお引っ越しに密着」「ペット探偵に密着!」などがある程度。そのため、「“動物園”というタイトルが合っていない」という声がしばしばあがりますが、保護猫・犬メインの放送は「テレビに驚きや刺激より優しさや温もりを求める」という人が増えた令和の世に合っているのかもしれません。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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