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《「縁切り神社」にすがる人々》多い悩みは「会社の人間関係」 絵馬に書かれた“個人情報”をネットでさらされる危険性も

NEWSポストセブン / 2024年9月10日 11時15分

現実世界でも縁切り効果をうたう神社は全国に存在する(写真/PIXTA)

 自分を蝕む存在を断ち切り、人生からシャットアウトしたい……そう望んだ人が「縁切り神社」にすがることもあるだろう。とりわけSNSで手軽に他者とつながるようになったいまの時代、「人との縁」は気の合う相手との楽しいひとときを提供してくれる半面、思いがけないトラブルを生む原因にもなりうる。現実の世界で「悪縁を断ち切りたい」と望む人の胸中に迫っていく。

ルーツは「女性の救済」

 人生の袋小路に入り込み、その原因を断ち切りたいと強く望んだ人の前に、黒い鳥居を持つ不思議な神社が目の前に現れ、黒い袴を身にまとったミステリアスな巫女・エマが黒い絵馬を差し出しながら「あなたの悪縁は何ですか?」とささやきかける──本誌・女性セブンで次号からスタートする連載漫画『縁切りエマ』は、強靭な縁切り効果を持つ「絶縁神社」を舞台に、そこに訪れる人の葛藤と欲望を描く大人のダークファンタジーだ。

 セールスマン・喪黒福造が不思議な力で依頼人の“ちょっとした願望”をかなえてくれるが、約束を破った場合に大きな代償を負う『笑ゥせぇるすまん』。ウェブサイト「地獄通信」に怨みを書き込むと、地獄少女が現れて相手を地獄に流してくれるが、報いとして自分もまた地獄に落ちる『地獄少女』──人知を超えた力を借りて欲望を満たそうとする人間の生き様を描いた作品は、いつの時代も読者の心を惹きつけて放さない。『縁切りエマ』は、そうした系譜につらなる作品だ。

 エマが黒い鳥居の前で参拝者を招き入れる「絶縁神社」のように、現実世界でも縁切り効果をうたう神社は全国に存在する。大量のお札が貼られた「縁切り縁結び碑」で有名な京都の安井金比羅宮や「日本三大縁切稲荷」の1つとされる栃木の門田稲荷神社はその代表格だと言えるだろう。いずれも日夜多くの参拝者が訪れるが、『縁切りエマ』の原作者であるとらふぐさんは、「縁切り神社」に救いを求める人たちについてこう分析する。

「縁切り神社は憎しみや煩悩、苦しみを断ち切る場として昔から存在してきました。悪縁との縁切りを願い、心の安寧を得るという行為は、現代人にとっても一種の癒しになっているのかもしれません」

 そうした“縁切り”のルーツは「女性の救済」にあると指摘するのは、浄土宗僧侶でジャーナリストの鵜飼秀徳さんだ。

「はじまりは鎌倉・室町時代の“縁切り寺”だといわれています。当時、女性の権利は強く制限され、女人禁制の寺も多く存在しました。当時の寺は庶民にとって生活が立ちゆかなくなった際のセーフティーネットでもあったため、そこに入れないということは、神や仏に救いを求められないうえ、いざと言うときに頼れる先を持てないということも意味します。代わりとして女性専用の尼寺が、自分から離縁する権利のない女性の“縁切り寺”としての役割を果たし、女性の物理的・精神的な救済を担ってきました」

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