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《「縁切り神社」にすがる人々》多い悩みは「会社の人間関係」 絵馬に書かれた“個人情報”をネットでさらされる危険性も

NEWSポストセブン / 2024年9月10日 11時15分

 実際に、現在も縁切り寺として有名な鎌倉の東慶寺や群馬の満徳寺は、江戸時代には幕府公認の縁切り寺として機能してきた経緯がある。

「しかし明治元年の神仏分離によって、神社と寺院を明確に分けることになり、かつて縁切りの機能を担っていた寺院が神社となりました」(鵜飼さん)

 時を超え女性の地位が向上した現代においても、多くの人が縁切り神社や寺に足を運ぶ。鵜飼さんは絵馬に書くほど強い気持ちで絶縁を願う人は、いまも女性の方が多いと話す。

「コンプライアンスが重視され、露骨なハラスメントが減った半面、陰湿ないじめが増えているように思います。最近では、上司からのノルマの押し付けや気が合わないといった理由で、会社と縁を切りたい人が多い印象です」

 御神木に鎌を打ち込み、悪縁や厄災、病気など悪運を断つ寺として名高い大阪市・鎌八幡の前住職、喜多妙光さんも「会社の人間関係に悩みを抱えて訪れる人は多い」と声を揃える。

「ほかにもいじめやストーカーなどの嫌がらせから逃れたいというかたも少なくない。ご自分の病気や不運といった広い意味での“悪縁”を断ち切りたいという願いもありますが、人間関係における悪縁をなんとかしたいという願いがやはり多いです」

「縁切り」には覚悟が必要

 どんなことをしてでも悪い縁から逃れたい──強い気持ちは時として暴走し、思わぬ事態を引き起こす。

「取材などで各地の縁切り神社や寺を訪れますが、『妻と離婚させてほしい』『イヤな上司を遠くの支社に飛ばしてほしい』といったものならまだいいが、『夫の不倫相手を殺して』『姑、早く死ね』など物騒な内容もある。

 しかしほとんどの絵馬には氏名、年齢、所在地を書いて、プライベートな願いを記載するようになっています。昔と違って怖いのは、個人情報が不特定多数の目に触れ、ネットで簡単にさらされる可能性があるということ。ここ数年で、はがきに貼るような『個人情報保護シール』を絵馬に貼る神社も増えていますが、数でいえばまだまだ少ない。ネガティブな祈願内容であるほど、気をつけるべき時代になっています」(鵜飼さん)

 また、願いがかなっても思わぬ犠牲が生じるリスクがある。実際、「上司との縁切りを願ったら、私が解雇された」などというエピソードも珍しくない。

『縁切りエマ』の作中でも、エマは参拝者に「どんな形で縁が切れるか、その方法は選べない」と忠告する。

「“人を呪わば穴二つ”ということわざが示すように、ネガティブな願いをかなえるには、それなりの覚悟が必要です。作品を通して、読者の皆様が自らの悪縁と向き合い、本質を見極めてどう断ち切るか考えるきっかけになってほしい」(とらふぐさん)

※女性セブン2024年9月19日号

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