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【令和の小泉劇場へ】総裁選出馬の小泉進次郎氏 期待される“自民党の救世主”の役割、父・純一郎氏から受け継がれるワンフレーズ・ポリティクス

NEWSポストセブン / 2024年9月10日 6時58分

有力候補に浮上した小泉進次郎氏(時事通信フォト)

 過去最多となる候補者が名乗りを上げ、例を見ない大混戦になるとみられる自民党総裁選。小泉進次郎氏が有力候補に浮上した背後には、やはり「父」の存在があった。聴衆を熱狂させる演説、踏み込むタイミングを間違えない勝負勘、そして冷徹な選挙戦略───そうした政治家としての力量で周囲を圧倒した「小泉劇場」が令和の世に甦るのか。【全3回の第2回。第1回から読む】

「殺されても『自民党をぶっ壊す』と言う」

 自民党の重鎮OBや支持派の議員たちが小泉進次郎氏に期待しているのは、父である小泉純一郎氏のような自民党の救世主という役割だ。

 その手法の一つが、短い言葉で国民に直接呼びかけるワンフレーズ・ポリティクス。

 純一郎氏は2001年総裁選で田中真紀子氏とともに全国を遊説し、「自民党をぶっ壊す」と聴衆の度肝を抜く言葉で、小泉旋風を起こしていった。国民はその言葉に熱狂し、森内閣の失政の数々を忘れて政治の刷新を期待した。そうして純一郎氏は最大派閥をバックにした「本命」の橋本龍太郎・元首相を党員票で圧倒する勝利を収めた。ジャーナリスト・田原総一朗氏が語る。

「あの時は誰も小泉純一郎が当選するとは思っていなかった。当時は田中派の流れを汲む橋本派が自民党も野党も牛耳っていたから、僕が小泉に『あなたが田中派と喧嘩して田中派をぶっ壊すと公然と言えば、国民はあなたを信用する』と言ったら、彼は『田原さん、誓います。殺されても言う』と答えた。そしたら総裁選の演説で、『自民党をぶっ壊す』とやり始めた」

 今回の総裁選では「政治とカネ」の問題への対応が問われる。

 そのことも純一郎氏の時と重なる。山崎拓・元自民党副総裁は「自民党をぶっ壊す」に込められていたもう一つの意味をこう言う。

「小泉の原点は田中角栄と福田赳夫の角福戦争でしょう。

 小泉は福田赳夫首相の秘書として福田邸の下足番をやっていて、福田さんが総裁選に負けた日、小泉だけがやけ酒のご相伴にあずかることになった。そこで福田さんから“田中はカネをばらまいた、大買収をやった”という恨み節を聞くわけです。その恨みを晴らそうというのが、政治家・小泉のDNAになった。それがYKKにも伝染し、われわれは『金権政治排除』を唱えた。

 だから小泉が3回目の総裁選で『自民党をぶっ壊す』と宣言したのは、自民党を壊すのではなく、自民党を支配してきた田中派・経世会をぶっ壊すという意味でした」

 そうした父の手法は息子にも受け継がれている。

 進次郎氏は自民党が大敗した2009年総選挙で初当選した時から、父譲りの演説の巧みさに定評があった。政治評論家の有馬晴海氏が語る。

「進次郎氏は街頭演説でも難しいことは言わずに、国民に平易な表現で語りかける。大きな身振り手振りを交え、短い言葉で、印象に残るフレーズを使おうとするのも父から学んだのでしょう。自民党の裏金問題に批判が集まると、いち早く『派閥解散』を唱えたのもその一つ。

 国連演説でセクシーと言ったことなどがポエムと揶揄されていますが、それも、聴衆をつかもうとした結果です。まだまだ父には及ばないが、初めて自分の政策を語る今回の総裁選でもおそらくワンフレーズを多用するでしょう」

(第3回に続く。第1回から読む)

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

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