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“無敵の人”斎藤元彦・兵庫県知事、強制的に辞職させるのは簡単ではない 不信任決議には「議会解散」、リコールには「66万人の署名」の高いハードル

NEWSポストセブン / 2024年9月10日 7時15分

 何を言われても気にしない“無敵の性格”だけでも強力だが、知事は“無敵の権限”を持っているからさらに厄介だ。

「百条委員会は12月までに報告書をまとめるというが、その結果パワハラと判定されても法的拘束力があるわけではない。本人が自ら意思表明しない限り辞職とはなりません」(前出・全国紙記者)

「不信任決議」と「議会解散」のチキンレース

 仮に自ら辞任しなかった場合でも、制度的に辞職に追い込む方法は存在する。神戸学院大の上脇博之教授はこう語る。

「知事を解職させる手段には、県議会による不信任決議の可決と住民によるリコール(解職請求)の2つがあります」

 とはいえ、不信任決議が可決されても、すぐに「辞職」とはならない。

 可決後、知事は10日以内に「議会を解散する」権限を持つからだ。県議たちには、自らが任期途中で地位を失うリスクを背負う覚悟が求められる。

「不信任決議を出すなら議会を解散するぞと、知事は匂わせることができる。互いの覚悟を試すチキンレースのようなもの。他党が辞職を求めるなか、維新の会の動きが鈍かったのは多数の議席を持っているため。そう簡単には意見がまとまらないはずです」(東国原氏)

 議会を解散した場合は県議会議員選挙が行なわれ、新しい議会で再び不信任が決議されれば、ようやく知事が失職する。だが、不信任決議を可決する壁がそもそも高い。

 決議は兵庫県議86人が全員出席した場合、4分の3にあたる65人以上の賛成が必要となる。現在、維新の会が4分の1にあたる21議席を持つ。仮に維新が動かなければ、自民党から日本共産党、無所属議員まで一人残らず賛成する必要があるのだ。

 不信任決議が難しい理由はそれだけではない。

「辞職させたら、次の知事選で誰を候補者として担ぐか決めないといけない。特に前回の知事選で斎藤知事を担いだ政党は、人選が固まらないうちは動きにくいのが実情でしょう」(上脇氏)

 もう一つの「リコール」は県民が動く方法だ。一定数以上の有権者の署名を集めたうえで住民投票を行ない、過半数が賛成すれば知事は失職する。人口が多い自治体の場合は特殊な計算式が用いられ(注:有権者総数が80万人を超える場合は「80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上」の署名が必要になる)、兵庫県の有権者数は約450万人のため、リコールには約66万人もの署名が必要となる。

「県全域で大規模な署名運動を展開する必要があり、相当の組織力が必要になる。2020年に愛知県の大村秀章氏に対するリコール署名が集まりましたが、署名の8割以上が偽造と判明した」(上脇氏)

“無敵の人”に立ち向かうのは簡単ではない。

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

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