【創価学会、指導者としての地位は誰が継ぐのか】故・池田大作名誉会長の豪邸、名義変更の“日付”の深い意味 “長男・博正氏への世襲シナリオ”も浮上
NEWSポストセブン / 2024年9月10日 11時13分
いったん罪を認めて拘置所から出た池田氏は、折しも大阪・中之島の市中央公会堂で開かれていた創価学会による抗議集会に来場。「正しい仏法が必ず勝つ」と吼えた。
それが、この年の7月17日のことで、5年後に池田氏と理事長(当時)については、無罪を勝ち取る。“奇跡”を起こす男、池田氏の神話なのだ。
その後、会長に就任すると、1964年には公明党を結党した。国や地方の議会で議席を拡大させ、教団も信者数を急伸させていく。
古参の学会員に池田氏の魅力を尋ねる質問をぶつけると、「池田先生は、庶民の目線で戦う実践を示してきた人。大阪に乗り込んだときの戦いがまさにそれです」という答えが返ってきた。
空席ポストの行方
なぜ、そんな象徴的な日に登記をしたのか。この点は、先に触れた「ありえた別シナリオ」と関わる。
遺産分割は、相続税の申告期限となる今年9月までに行なわれると見込まれていた。
法定相続人は香峯子氏のほか、長男で主任副会長の博正氏(71)、三男の尊弘氏(66)、次男で故人の城久氏の2人の子(池田氏の孫)の計5人だった。
「小さな家」への転居と前後する時期、小学5年生、4年生、幼稚園児だった3人について、池田氏は「三巨頭会談」と題したエッセイを書き残している。
〈長男の背丈は、いつか女房を追い越してしまった。次男は五十二キロの体重で、学級第一、アダ名を大鵬とつけられた。三男の甘ったれは豆タンクさながら、すばしっこい〉
〈(お小遣いについて)長男は最高額をせしめるのが当然と心得、三男は二人の兄と同額だと主張してやまない。不平等を唱え、要求貫徹を叫ぶ姿は、組合や議会もそこのけである〉(月刊『オール讀物』1965年6月号掲載)
ちなみにカリスマ性では父親譲りとの呼び声が高かった次男・城久氏は1984年に29歳の若さで病気のため亡くなった。三男・尊弘氏は裏方のサポート役と見られてきた。
残る長男・博正氏には「学者肌」という評価がある一方、「池田氏亡き後に空席となったSGI(創価学会インタナショナル)会長に就くのではないか」という観測も、一部の学会員の間にはある。
実際、池田氏の死後、6代会長の原田稔氏(82)とともに訃報を伝える動画に登場したほか、岸田文雄首相の弔問にも原田氏とともに立ち会った。
池田氏自身は世襲を否定していたものの、その血を引くだけに、やはり組織の指導者としての地位を継ぐのではないか、「血脈の力」を押し出すのではないか、という見方は完全には拭えない。
(後編に続く)
【プロフィール】
広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。
※週刊ポスト2024年9月20・27日号
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