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Netflixドラマ『地面師たち』を観た元地面師が語った、実際の詐欺の現場とドラマでは何が違うのか

NEWSポストセブン / 2024年9月15日 16時15分

 本人確認についても「売主側企業の司法書士が本人確認のために質問するシーンがあったが、せいぜい聞くのは名前と生年月日くらい。どこで買い物をするのか、スーパーはどこに行くのか、なんて聞くことはまずない。リアル感を出しているだけだ。ピエール瀧が演じる元司法書士役のように、詐欺師側の人間が高圧的な態度に出てまくしたてるようなこともない」(Y氏)。

 ドラマではなりすまし役を呼び、綾野剛らが教育するシーンがあるが、「なりすましをスカウトした手配師以外は当日、現場でなりすましと会うだけだ。積水の事件で、カミンスカスもなりすましの女とは当日、現場で初めて会ったはずだ。そうすればなりすまし犯が捕まっても、他のヤツらは当日会っただけなので、あれがなりすましとは知りませんでしたと言い逃れられる」(Y氏)。

 ドラマを観た視聴者は、地面師は凄腕の詐欺師集団のような印象を受けただろう。だがY氏は「今の地面師はただの詐欺師」と言い切る。「積水ハウスの事件もそうだが、彼らは自分たちの存在がわからないよう用意周到に仕掛けていく地面師ではない。カメラで写真を撮られたり、契約の場に出て行ったり、顔をさらしている。カミンスカスがいい例だ。逮捕前に名前と顔がメディアに知られ、高跳びするために空港で待っているところをメディアに報じられただろう。偽造したとわかる書類を相手方に渡して、証拠となる物も沢山残している」という。

 もともと「地面師」は、法務局にある不動産の登記簿を偽造した者のことをそう呼んでいたとY氏はいう。不動産登記簿がコンピューター化される2005年以前の話だ。

「当時の登記簿は紙帳簿のバインダーに保存されており、誰もが閲覧可能だった。地面師は自ら法務局に出向き、バインダーから登記簿の原本を持ち出し、同じ字体のタイプライターで所有権の移転登記を勝手に行う。登記を行った登記所の印鑑を偽造して押印し、翌日朝一で、その原本を元のバインダーに戻す。その後、何食わぬ顔をして窓口で交付申請すれば、職員が偽造した謄本を正式なものとしてあげてくれる」。昔は防犯カメラもないため、このような手口が成立していたのだ。

「なりすまし」もそうやって所有者となり、印鑑証明等を偽造して偽の不動産売買をもちかける。不動産業者も、売主から不動産を売りたいからと頼まれた善意の第三者を装えば、事件が発覚しても逃げやすい。

「カミンスカスたちのような地面師は、捕まるのが前提の確信犯。だから証拠が残っている。本当の地面師は自分が詐欺に関わったという証拠は残さないものだ」

 かつての地面師はいう。「作り物だからこそ『地面師たち』は面白い」。

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