《連絡はなかった》貴乃花光司氏が語る“引退する愛弟子・貴景勝への思い”と“大相撲の未来”「今が大相撲の過渡期」さらなる変革の大波も予見
NEWSポストセブン / 2024年10月3日 10時59分
秋場所で優勝した大の里は、新入幕からわずか5場所で大関に昇進。大相撲界において、世代交代が加速している。その一方で、横綱不在の場所が多い中、長年大関として活躍した貴景勝が引退を発表した。“平成の大横綱”第65代横綱・貴乃花光司氏(52)は変わりゆく令和の大相撲をどのように見ているのか。【全3回の第3回。第1回から読む】
貴景勝に必要だったもの
新世代が台頭すれば、上の世代が退く。貴乃花部屋の愛弟子だった貴景勝(28)は、秋場所で10勝をあげての大関復帰を目指したものの、初日から連敗を喫して途中休場。現役引退を表明した。大関在位30場所、優勝4回という実績を残したが、ケガにも苦しんだ。押し相撲一辺倒で安定感に欠けるとの指摘も多かった。
「(押し相撲は)難しくないんですよ。ただ、本人が難しく考えてしまっていたと思う。テーピングとかね、ああいうのをすることを私は教えてきていないので。体重も増えて仕方なくやっていたんでしょうが、1年前に(テーピングが)取れないとこういう事態になるだろうなと感じていた。その方向にいきました。それは仕方がないことです。本人も悩みながらやっていますからね」
引退の瀬戸際となっても、貴景勝から連絡はなかったという。
「ないというか、ないようにさせています。体の使い方が基礎に戻ればよかったんですけどね。首の故障が原因ですが、あの子(貴景勝)は背丈がなく、横に太い力士ですから、頭からガンガンいかないと相手に衝撃を与えられない。でも、相撲は頭からガンガンいくだけのものじゃない。そこは体格に関係なく、技術が必要になる。それを稽古場で鍛錬していかないといけない世界なんです。
あの子が四つ相撲を取り入れるのは無理でした。四つ相撲を取ったら一発で大きなケガをして終わっていた。あの体格で横綱を目指すには突き押しに徹するしかなかった」
世代交代が進む令和の大相撲はどうなっていくのか
ケガに苦しむのは、ひとり横綱の照ノ富士(32)も同じだ。夏場所は復活優勝したが、秋場所は全休。貴乃花氏も現役終盤は膝の大ケガにより長期休場を余儀なくされた。「毎場所、満身創痍になっていくものです」と振り返る。
「横綱はなるよりなってからが大変で、昇進と引退が一直線上にあり、それがどんどん近づいてくるという感覚。引き際も問われます。ボロボロになるまでやるか、準優勝ぐらいしてスッと引くか。もちろん理想は優勝しての引退でしょうが……」
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