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【埼玉運送会社社長殺人】遺体には18か所の傷、腹部の傷は深さ16センチ…滅多刺しした被告が公判で語った身勝手な言い分

NEWSポストセブン / 2024年9月30日 16時13分

 事件前日にも話し合いが行なわれたが、27日同様、平行線をたどる。そして当日、内田被告は包丁を持参して話し合いに赴き、内田被告を自宅まで送るため車に乗り込もうとしていた大川さんを後ろから刺したという。「被害者からの借金返済要求から逃れるために殺害を決意した」と検察官は指摘している。

 会社に設置された防犯カメラ映像には、大川さんが背を向けた隙に、内田被告がトートバックから取り出した包丁で大川さんの背中を突き刺す様子や、逃げる大川さんを何度も刺し、さらに敷地内に倒れた大川さんに馬乗りになって刺し続ける様子が記録されている。大川さんは事件前に足を骨折しており、全快には至っていなかった。犯行に使われた包丁は刃渡り17.4センチ。遺体には18か所の傷があり、そのうち腹部の傷は深さ16.1センチ。刃がほとんど根元まで刺さったとみられる。

 まさに滅多刺しだが、犯行に及んだ当の内田被告は弁護人からの被告人質問に対して「大川さんへの恐怖」があったと繰り返した。被告が言うには、「前刑の詐欺未遂は、暴力団の準構成員であった大川さんから指示された」ため「服役しているときに関係を断とうと決意していた」のだという。出所後は「連絡を取る頻度が減っていったため、大川さんから警告を受けるようになった」ことから、再び会うようになったと語った。

「会うようになってから大川さんは『自分の目の届くところで仕事をするように』と言い、『AKトランスのドライバーとして働け』と言われました」(被告人質問での証言)

 内田被告とその父親とで、借金返済について話し合いをしたことについても、「今後、大川さんの会社で働くにあたり父親に説明したいと言われていたのに、話が違っていたので、なぜ借金の話をしているのかと思った」と内田被告は語る。約300万円の借金は内田被告としては「借りてないし、払う必要はない」と思っていたという。そして事件当日、大川さんと借金返済の話し合いになり〈返済ができないのなら親のところに行くしかない〉と大川さんに言われたため、包丁で刺した……と語った。

(後編に続く)

◆取材・文/高橋ユキ(フリーライター)

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