石破茂新首相と高市早苗氏、勝負を分けた「5分間」 高市氏の最後の演説はなぜ心に響かなかったのか?臨床心理士の分析
NEWSポストセブン / 2024年10月4日 7時15分
眉毛は黒く太くはっきりと書かれ、自我の強さ、自己主張の強さをアピールしている。一目で濃いと分かるメイクのため、のっぺりと見えてしまい、どこか時代遅れな感じ。髪型は撫でつけたようにぺったりとしたショートで髪色も黒、ふんわりと軽快で明るく自然な感じはない。眉も髪も黒すぎる。タレントのアン・ミカさんは、ずっと同じように見えるかもしれないが時代や年代に合わせてメイクの仕方を変え、魅力的に見せていると、どこかの番組で話していた。高市氏も変えているのだろうが、魅力的に見せることには失敗している気がした。
服装やメイクから女性らしい温かみや柔らかさ、色気などより、理知的なクールさ。冷静沈着な判断力などを演出しているだろうに、彼女は顔中をくしゃくしゃにして何度も微笑んだ。それが彼女の人柄なのだろうが、クールで力強いリーダーをアピールするのなら、この演説で笑うべきではなかっただろう。
この演説で彼女がしてしまった失敗は3つある気がする。1つは冒頭部分にある。石破氏は冒頭、石川県などで被災され被害にあった人々に哀悼とお見舞いを述べると、今、檀上にいることについて「ここまでこさせて頂くことができました」と自民党員らに感謝した。高市氏はまず「女性である私が総裁選の決選投票にすすませて頂いた。これは自民党にとっても、日本国にとっても、歴史的な瞬間だと思っています」と述べ、「ありがとうございます」と感謝した。確かに歴史的な瞬間だった。気持ちが高ぶってもおかしくない。だが彼女の言葉はここで途切れてしまった。“ここからが本番”でも“まだ先がある”でも“一緒に歴史を作ろう”でもない。その勢いを自分で切ってしまったのだ。次への言葉がないままに、高市氏は被災や被害にあった人たちのことを話し始めた。彼女の挑戦はここで終わってしまう、そう思った瞬間だった。
2つ目の失敗は歴代首相に感謝の言葉を述べた上に、9人で戦った総裁選についての話に時間をかけたことだ。「そして」「そして」と話が続き、彼女の話は終わらない。何から何まで説明しないと気がすまないようだが、声のトーンもワンパターンで大きな抑揚もないため言葉が耳に残らない。注意して聞かないと、言いたいことが掴めない。だから中盤の話は歴代首相への感謝と総裁選の総括?という印象しかなかった。
3つ目は5分間で演説をまとめきれなかったことだ。初めての決選投票で緊張したのかもしれないが、時間配分をコントロールできなかったのは痛かった。さらに時間だとメモが渡された後も、口から出たのは公明党の山口那津男代表(当時)への感謝の言葉。ここで言うべきは、みんなで一緒にさらなる歴史的瞬間を作ろう、ではなかったのか。最後まで自分はこうする、こうしたい、だから一緒に!という強く明確なアピールはなく、自民党議員の気持ちを盛り上げ鼓舞することはできなかった。
5分間の演説がもっと劇的な拍手に包まれるようなものであったなら、高市氏が勝利していたかもしれない。さて女性初の総理大臣が誕生するのはいつになるのか。
-
- 1
- 2
外部リンク
- 【自民党総裁選で巻き起こる「高市早苗現象」】対中国政策で岩盤保守層から固い支持 「石丸現象」の仕掛け人は「外からステルスで支援」
- 【自民党総裁選で「高市早苗現象」】アベノミクス継承の積極財政で財務省と戦う姿勢 「高市氏かそれ以外か」の構図が固定化か
- 【自民党総裁選で「高市早苗現象」】積極財政主張に危機感を抱く財務省が「高市包囲網」を着々と形成 石破茂氏、小林鷹之氏らのバックには財務官僚の影
- 《政策リーフレット配布で口頭注意》総裁選立候補の高市早苗氏(63)がもつ“運と愛嬌” 2度目の出馬表明に繋がった「安倍元首相が残した“アドバイス”」
- 石破茂氏の妻・佳子さんが明かしていた「家では“ハト派」夫の素顔「よっちゃん、と呼ばれます」
この記事に関連するニュース
-
自民党総裁選から見えた様々な景色
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年9月30日 12時22分
-
高市早苗氏の敗因は「2つ」田崎史郎氏が分析「従来の派閥の足し算なら優位だったが…」
日刊スポーツ / 2024年9月28日 14時21分
-
安倍晋三元首相の国葬から丁度2年…高市早苗氏「いい報告ができなかった。申し訳ない」悔しさにじませる
よろず~ニュース / 2024年9月27日 17時46分
-
石破茂氏が自民党総裁選制す!5度目の挑戦で決める 高市早苗氏と決選投票
よろず~ニュース / 2024年9月27日 15時26分
-
【時系列】自民党総裁選「投開票日」実況タイムライン午後② 新総裁誕生編 ※更新終了
日テレNEWS NNN / 2024年9月27日 13時51分
ランキング
-
1石破茂新首相と高市早苗氏、勝負を分けた「5分間」 高市氏の最後の演説はなぜ心に響かなかったのか?臨床心理士の分析
NEWSポストセブン / 2024年10月4日 7時15分
-
2“裏金議員”34%が落選危機…衆院選289選挙区「完全予測」→あの“国会ヤジ女帝”も劣勢の衝撃結果に!〈旧安倍派幹部の下村氏、高木氏、西村氏は?〉
文春オンライン / 2024年10月3日 7時0分
-
3石破首相、旧安倍派幹部の聴取検討=「裏金議員」公認問題巡り
時事通信 / 2024年10月3日 22時56分
-
4「車が飛んだ」との通報も…浜松で竜巻か、10代が割れたガラスでけが
読売新聞 / 2024年10月3日 23時5分
-
5マザームーン連呼の自民・山本氏、「韓国語分からず愛称を使った」と改めて説明
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年10月3日 20時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください