【石坂浩二ロングインタビュー】27才での大河ドラマ主演を振り返る「特別な苦労は感じなかった。楽しい思い出ばかりでした」
NEWSポストセブン / 2024年10月18日 7時12分
これ以降、石坂へのオファーは途切れることなく、それはいまも続く。倉本聰さん原作・脚本の映画『海の沈黙』の公開も11月に迫っている。そんな石坂の役者としての原点はどこにあるのか──。
高校生にして民放ラジオの脚本家に
「演劇の世界に興味を持ったのは、祖母の影響が大きいですね」
祖母は幼い石坂を連れてよく東京・浅草に行き、芝居や落語などを楽しんでいたという。おのずと演劇に興味を持つようになり、中学1年生のとき、同級生と演劇部を立ち上げた。
「当時の演劇界にはまだ戦後のにおいが漂っていて、社会主義に傾倒した作品が目立っていました。中学生なんて何事にも反発したい年頃。“社会主義はおかしい、やっぱり資本主義が正しいのではないか”なんて、次第に17世紀フランスの古典主義に傾倒していきました」
高校へ進むと、アメリカ演劇に詳しい「俳優座」養成所の講師、故・中田耕治さんから影響を受けるようになる。
「17才の頃、中田さんの講義に通っていたのですが、そこでラジオ局の人とご縁ができ、民放ラジオの台本を書かないかと誘われました」
ラジオのDJといえば、フリートークができて当たり前だが、昭和30年代は違った。DJを務めるのが映画スターだったからだ。当時は映画スターのテレビ出演が認められておらず、ラジオが映画に次ぐ活躍の場だった。ところが当時のスターは台本がないとしゃべれない。それでラジオの台本書きが求められ、高校生の石坂もそのひとりとして仕事をするようになったのだ。
(第2回につづく)
【プロフィール】
石坂浩二(いしざか・こうじ)/1941年、東京生まれ。高校在学中の1958年、テレビドラマ『お源のたましい』(KRTV・現TBS)にエキストラ出演。演出家の故・浅利慶太さんに誘われ、慶應義塾大学法学部卒業後、「劇団四季」へ入団。1963年の『花の生涯』を皮切りに『天と地と』(1969年)、『元禄太平記』(1975年)、『草燃える』(1979年)などNHK大河ドラマに多数出演。1976年には映画『犬神家の一族』(東宝)に主演し、以後、市川崑監督作品の“顔”に。作家、司会者、ナレーターなどでも活躍。2009年NHK放送文化賞を受賞。画家としては1974~1985年まで二科展に連続入選。
【今後の出演情報】
映画『海の沈黙』
脚本家・倉本聰さん(89才)が半世紀以上温めていた構想を映画化。贋作絵画を巡る人間模様を描く。主演は本木雅弘(58才)。石坂は著名な画家役で出演。11月22日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開(配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ)。
NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
2025年1月5日から放送予定。江戸時代の“出版王”とされる蔦屋重三郎の生涯を描く。主演は横浜流星。石坂は徳川吉宗・家重・家治の将軍3代に仕えた老中首座・松平武元役。
取材・文/上村久留美 撮影/政川慎治
※女性セブン2024年10月24・31日号
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外部リンク
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- 【つづきを読む→】石坂浩二が明かす、名演出家・名監督との交流「浅利慶太さんの助手として働いた忙しい日々」「出番がなくても毎日通った市川崑監督の現場」
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