「日本の中枢3人が右傾化している」が米の論調と大前研一氏

NEWSポストセブン / 2013年7月20日 16時0分

 韓国の朴槿惠大統領は、歴代大統領で初めて日本より先に中国を訪問した。中韓が連携を深める一方で、日本は孤立しつつあるのか。大前研一氏が現状について解説する。

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 新しい時代が幕を開けた。その象徴こそが、尖閣諸島をめぐる日中の対立についてオバマ大統領が「緊張緩和を求め、行動ではなく外交チャンネルを通じた対話で解決すべきだ」と発言したことである。その場で習近平主席は、尖閣諸島は中国にとって台湾やチベットなどと同様に譲れない「核心的利益」だと表現し、「主権と領土をしっかり守る」と主張したと報じられている。

 菅義偉官房長官は、米中首脳会談開催時のテレビ番組で「日本の考え方はアメリカに伝えている。そこはしっかり主張してもらえる」と述べ、オバマ大統領が尖閣諸島問題で日本政府の立場を踏まえて発言するとの見通しを示していた。

 ここでの「日本の考え方」とは、「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、現に我が国はこれを有効に支配している。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」というものである。つまり話し合うテーマではない、というのが日本の立場なのだ。

 ところが、オバマ大統領は「領有権の問題」を「話し合うべき」と述べた。ということは「日本の考え方」は、オバマ大統領には全く伝わっていなかった可能性が高いのである。これは極めて大きな日米間のギャップであり、由々しき事態と言わざるを得ない。

 悲劇的なのは、この国のトップにそうした認識がないことだ。

 日中首脳会談の翌週、安倍晋三首相はオバマ大統領と電話会談し、日本の立場を踏まえた対応をしてくれたことに感謝の意を示したうえで「中国と協議するドアは常に開いている」とまで語った。歴史的にも国際法的にも「日本の領土」であることが明らかな尖閣問題が米中首脳会談の俎上に載ることだけでも屈辱的なのに、「話し合うべき」としたオバマ大統領に謝意を示して“はい、話し合います”と答えるとは、安倍首相の外交センスに大きな疑問符が付く。

 中国抑え込みをアメリカ頼みにしている一方で、安倍首相は国内では中国や韓国に強い姿勢を見せる内弁慶ぶりが際立っており、それがかえってアメリカで「ストロング・ナショナリスト(強硬な国家主義者)」と警戒される原因になっている。「安倍、石原(慎太郎氏)、橋下(徹氏)の日本の中枢3人」が右傾化しているというのがアメリカの最近の論調で、私はG8での日米首脳会談見送りはこのことが関係しているとみている。

※SAPIO2013年8月号

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