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《私も中学生になってみたい》小5から6年間奉公の“スーパーボランティア”尾畠春夫さんが語った「夜間中学」の夢

NEWSポストセブン / 2024年10月28日 11時4分

いつもボランティアで清掃を行っているという海。時には驚くようなものが落ちているという

「戦争を起こすのはいっつも大人。子どもたちには罪がないんですよ。平和になってもらいたい」──NEWSポストセブンの取材にそう語るのは、真っ赤な鉢巻きがトレードマークの“スーパーボランティア”こと尾畠春夫さん(85)。2004年、65歳で営んでいた鮮魚店を閉めて、念願だったボランティアを始めた。九州の最南端から北海道の宗谷岬まで歩き、全国の被災地支援にも単身で駆け付けた。長年、ボランティア活動を続けてきた尾畠さんは今年3月のインタビューで「活動は85歳で一区切り」と語っていたが「引退宣言」を撤回。その背景には幼少期の経験と“長年の夢”があった──。【前後編の後編。前編から読む】

 戦後79年、日本は平和を保ってきた。だが、ウクライナやパレスチナ自治区ガザでは、戦争で街が破壊され、そこで生きる多くの子どもたちの未来が奪われている。尾畠さんは決して“対岸の火事”ではないと真剣な表情で語る。

「日本で起きた戦争でいちばん悲しい思いをしたのは沖縄の方だと私は思います。地上戦がありました。たとえば、ひめゆり学徒隊とかそういった沖縄戦で犠牲者になった方々の骨がガマ(自然洞窟)の中に相当残っていると思う。それを拾って出してあげたい」

 拾った遺骨はどうする予定なのか。

「役所にお渡しします。沖縄に着いたら県庁に行って、ガマで遺骨を拾い集めることの許可をもらおうと思っちょる。ダメと言われたら大分に帰ってくるだけ。ボランティアはさせていただくもんだから、ダメと言われたらやらない。

 それは他の場所でも一緒。宿は取らず、テントで宿泊です。ガマの近くで寝ようと思ってます。虫除けのためにビニール袋に穴をあけてそれを被れば、わしの場合どこでも眠れるから」

 2年ほど沖縄に滞在して、ガマでの収集活動をしたいと語る尾畠だが、その後は長年抱いていた自身の夢を叶えたいと初めて明かした。

「ボランティア活動を減らして、山を越えたところにある『夜間中学』(編注:大分県教育委は戦後の混乱期に中学校に通えなかった高齢者の学び直しの場などとして開校準備を進めている)に通おうと思っとったんです。私は小学5年生から中学3年生まで、村で一番大きな農家へ奉公に出されとったんですよ。学校も全然行けなくて、その期間の出席日数が4カ月分だったんです」

 85歳での引退を撤回した理由は?

「実は、学校の開校が2年後の2026年に延期となり、それまでしばらくはボランティアは続けないかんなと。特にどの科目を勉強したいとかはなくて、普通の中学生がやることを私もやってみたい。同じような体験がしたいんです。やっぱり、10歳から15歳まで奉公に行ってたから、少し未練があるですかね」

 目を輝かせて、「夜間中学」への想いを語った85歳の尾畠さんだった──。

(了。前編から読む)

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