《高田馬場から葉山まで歩き続けたことも》追悼・楳図かずおさん 愛弟子・高橋のぼる氏が明かすアイデアの源「シャーロック・ホームズ歩き」
NEWSポストセブン / 2024年11月8日 7時15分
漫画家・芸術家の楳図かずおさんが10月28日に88歳で亡くなった。楳図さんといえば、『漂流教室』『まことちゃん』『わたしは真悟』『14歳』などの代表作で知られ、ギャグからホラー、SFなど幅広いジャンルの作品で愛された。10月2日には、新作となる「連作絵画」を制作中であると発表したばかりだった。
そんな楳図さんのアシスタントを務め、漫画のすべてを教わったと語るのが、『土竜の唄』などで知られる漫画家の高橋のぼる氏(60)だ。
「僕は実家のあった千葉県野田市から、当時楳図先生の仕事場があった高田馬場(東京・新宿区)まで1時間半くらいかけて通っていました。先生は毎朝10時、わざわざ僕が来る時間に合わせて仕事場に来てくれて。その時のアシスタントは僕だけで、遠近感を出す技法やタッチなどを勉強させてくれました。
僕が『ペン入れ、横でじっと見てていいですか』って言うと、面倒そうな顔一つせず『いいよ』って言って、ペン入れを始めるんです。アシスタントを辞める時、『また遊びに来ていいですか』と僕が言ったら、『漫画家になってからね』と言われました。その後、無事初めての連載を獲得した時に先生と再会。ワインで乾杯してイタリアンレストランでコース料理を奢ってもらいました」
散歩しながらネームの内容を練る
こうして楳図さんから漫画のイロハを教わり、漫画家としても成功を収めた高橋氏は、楳図さんの“アイデアの源”をこう振り返る。
「楳図先生は、散歩しながら漫画の設計図にあたる“ネーム”の内容を練り、浮かんだアイデアを書き留めていたんです。肩掛けのバッグをいつも持っていて、そこにノートと鉛筆を入れてとにかく歩いていました。
『高橋君、シャーロック・ホームズは推理をする時、大きな部屋のなかをずっと歩いてるでしょ? 歩きながらしかいい思考は巡らないよ』と言われ、よく一緒に歩いたもんです。『お昼を食べるレストランまでに考えよう』『あの喫茶店までに思いつこう』って。
歩いて歩いて足の裏から血流を動かし続け、頭を回転させることで、新しいアイデアを思いついたり話がまとまったりするんだよ、とよくおっしゃっていました」
そうした創作のための行動は、たびたび行き過ぎた結果を招いていたようだ。高橋氏は言う。
「仕事場のある高田馬場から平気で何時間も歩いて、神奈川県の葉山まで歩いて行っちゃったこともありました。大の花好きで、『お花を買ってくる』と散歩に出かけたはいいものの、花も持たずにボロボロの格好で帰ってきたこともあって……。道中、どんなことがあったのか心配になりましたね」
その思索の歩みが、数々の傑作を生んだのだろう。
※週刊ポスト2024年11月22日号
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
楳図かずおさん死去で「まことちゃんハウス」どうなる? 景観問題で記念館化に〝壁〟
東スポWEB / 2024年11月6日 6時9分
-
《追悼》「手塚治虫に影響を受けないように...」「酒井七馬から“つなぎ”を学んだ」漫画家・楳図かずお(88)が明かした創作の原点
文春オンライン / 2024年11月6日 6時0分
-
「みんなに愛された方」楳図かずおさん死去に地元・吉祥寺から追悼の声「いなくなるって考えたことがなかった」
スポーツ報知 / 2024年11月6日 5時30分
-
ホラーの原点は古里の森への畏怖、「永遠の子ども」森へと帰る…楳図かずおさん逝く
読売新聞 / 2024年11月5日 20時43分
-
「孤独のグルメ」原作者 楳図かずおさんを追悼「吉祥寺の街が淋しくなる」20歳の頃の思い出つづる
スポニチアネックス / 2024年11月5日 13時51分
ランキング
-
1衆院選大敗で執行部批判相次ぐ 自民、2千万円支給を問題視
共同通信 / 2024年11月7日 20時47分
-
2実行役リーダーに無期懲役=「拷問と言うべき犯行」―「ルフィ」広域強盗・東京地裁支部
時事通信 / 2024年11月7日 17時20分
-
3発生18年「早く事件の真相を」 小4女児刃物襲撃の現場住民
共同通信 / 2024年11月7日 20時30分
-
4【追跡】大学生暴行死 被害者と男女6人の間に何が… 別れ話がエスカレート? “強盗致死”の可能性は?
HTB北海道ニュース / 2024年11月7日 18時31分
-
5「178万円目指していく方針に変わりはない」国民玉木代表、自民党税調会長の発言に反論
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月7日 21時29分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください