“小泉家の国家老”が進次郞氏に直言 総裁選の敗因は「“周りが望む進次郎像”が膨らみ過ぎたため」、執行部を外れたのは絶好の機会「もう一度地元から始めればいい」
NEWSポストセブン / 2024年11月9日 10時59分
牧島氏は、批判の十字砲火を浴びた進次郎氏が「もう失敗から学んでいるはず」と付け加えた。
「私たちが見てきた進次郎君は、幼くして両親の離婚を経験した。家庭でも学校でも悔しさや寂しい思いをしながらそれを腹におさめて、明るく振る舞うような子でした。『この子は強くなる』と思って見てきた。彼には復元力があると信じています」
真の国民政党を作り直せ
牧島氏はより深い総裁選の敗因分析も求めた。
「高市(早苗)さんが最も党員票を取り、国民一般の支持が高い進次郎君が3位に終わったのはなぜか。党を生まれ変わらせる前にそこを解き明かさないと、同じことがまた起こります」
そこにある懸念は、近年の党員の“変質”だ。野党時代に70万人強にまで激減した自民党員は、政権復帰後の約10年間を経て、105万人にまで回復した。その穴を埋めた30万人は、一強だった安倍(晋三)氏を支持する右派が多い。全体に高齢化し、穏健な中間層の影響力は下がっている。
「2つの敗戦で、進次郎君は党の刷新のために自分が果たすべき責任を改めて自覚したと思います。執行部を外れたのは絶好の機会です。進次郎君には、この際、冷静に原点に立ち返ってほしい。
なぜ、自民党は一部の意見ばかりが通り、国民とズレた政党になったのか。それを見つめ直して、地域と結びついた、足腰の強い真の国民政党に作り直す。基礎から始めなければいけません。これは進次郎君が再びトップを目指す上で避けて通れない課題でもある。
執行部を外れても、進次郎君には、神奈川県連会長の立場は残る。仲間たちは彼を待っています」
神奈川は1970年代以降、自民党を飛び出した新自由クラブが生まれ、革新首長が次々誕生する“赤い太平洋ベルト地帯”と呼ばれた時期もある。
「自民党にとって地獄のような時期から、国会議員、地方議員が歯を食いしばって党員を1人ずつ増やし、王国と言われるまでに押し上げた。もう一度、それをこの地元から始めればいい」
かつて評論家の江藤淳氏は、1997年の新進党分裂騒動の渦中で窮地に立つ小沢一郎氏に対し、信念をよりよく生かすために、「小沢君、水沢へ帰りたまえ」と直言した。
牧島氏が進次郎氏にかけた言葉は、小沢氏に惚れ込むからこそ放たれた江藤氏の直言にも似ている。
「国際情勢が激しく動くなかで、政治の現実は進次郎君を放っておくわけもなく、歴史のページをめくる旗頭となれる彼の下にきっと人は集まるでしょう。時間はあまりないかもしれません。
かつて小泉内閣ができたのは、土建国家政治として残っていた『田中(角栄)支配を潰すのだ』という信念の純一郎さんと『反竹下(登)』の田中真紀子氏が結んだからです。
歴史は繰り返すものです。日本が二流の大国になるのか、安倍支配を終わらせてもう一度蘇るのか。進次郎君の世代の頑張りにかかっています」
(前編から読む)
【プロフィール】
広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)
※週刊ポスト2024年11月22日号
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