【独占入手】《良くて無期、悪くて死刑》岡山・兵庫連続女児刺殺犯が獄中で綴った“自傷行為”と“特異な性癖”「白いブラウスの女の子のお腹を…」「きっかけはいじめです」
NEWSポストセブン / 2024年11月18日 7時15分
しかしこうした執着は明かしながらも、彼は公判でも取材でも「津山事件」の関与を否定し続けていた。無罪の可能性がゼロではない彼に、別の事件への関与を問いただすことなどできるはずもない。
ところが〈大事件ですっ!!〉の手紙には〈少し前の5月下旬から兵庫県警察がアタクシのところに突如来て、平成18年9月28日に兵庫県たつの市で発生した殺人未遂事件のことで取り調べを受けているのですっ。〉とあり、続けて〈まぁ、自分でした事なので仕様がないのですが、あと10年程刑期が追加されそうです。〉と、「たつの事件」を認める旨記されていたのである。
それだけではない。次に届いた9月12日付の手紙では、加古川市の女児殺害事件も認めたのだ。
〈また逮捕されそうなことについて。これは嘘ではありませんよ。200%間違いないですね。それも、2件の罪で、です(中略)どちらも自分がやった事なので、この前刑事に自供したんですよ。〉
未解決事件をいきなり2件も認めた経緯を勝田容疑者はこう綴る。
〈まず7月3日にたつの事件のことを認めて、そして8月下旬に加古川事件の方を認めたんですよ。途中から取り調べの雲行きが怪しくなって、加古川事件の方も言わざるをえなくなったんですよ。
これは10年どころか、良くて無期懲役、悪くて死刑のレベルですね。〉
勝田容疑者の“告白”はこれだけではなかった。
〈ユキ女史、この際だから正直に言いますね。
津山事件もワタクシがやったんですよ。嘘をついていて、たいへん申し訳ありませんでした。本当にごめんなさい、です。この件についても、今後詳しく正直にお話ししますね。〉
あれだけ否認していた「津山事件」についても認めたのである。
刑事さんが背中を押してくれた
ところが、「今後」の手紙を待つ中、勝田容疑者は11月7日の逮捕当日から接見禁止となり、弁護士以外の面会が認められなくなったうえ、外部との文通が不可能な状態となった。
その一方で、新聞やテレビでは「警察が提供した情報」として勝田容疑者の逮捕後の供述が報じられる。しかし、一介のフリーライターが警察から情報を得るのは難しい。
そこで筆者は「なぜ突然3事件の関与を認めたのか」を本人に聞くため、大阪で活動している弁護士の中道一政氏に勝田容疑者への接見を依頼。11月10日夜間の接見で本人からの伝言を得た。
「刑事さんが背中を押してくれ、自分でも人として、人間の心を忘れてはいけないと思ったことから、すべてを認めることにしたのです」
逮捕前、9月12日付の手紙で、勝田容疑者は筆者にこう告げている。
〈事件の真相をこれから正直に、有りのままにお話ししていきますので、ユキ女史は面白可笑しく書いてくださいねっ。〉
重大かつ凶悪な事件を“面白可笑しく”書くなどという約束は到底できないが、今後も彼の言葉を聞き続けるつもりだ。
【プロフィール】
高橋ユキ(たかはし・ゆき)/1974年、福岡県生まれ。ノンフィクションライター。2005年、女性4人の傍聴集団「霞っ子クラブ」を結成しブログを開設。以後、フリーライターに。主に刑事裁判を傍聴し、さまざまな媒体に記事を執筆している。『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』(小学館新書)など、事件取材や傍聴取材を元にした著作がある。
※週刊ポスト2024年11月29日号
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