【政治家として政権交代にこだわる理由】小沢一郎氏インタビュー「政権交代こそ癒着や利権構造を断ち切ることができる一番の政治改革」
NEWSポストセブン / 2024年11月30日 6時59分
明治維新でも西郷隆盛の人気は高かったが、本当の意味で維新が成し遂げられたのは大久保利通の力が断然大きい。だが、国のため徹底して改革を推し進めた大久保は嫌われた。いまの政治の世界に置き換えても同じことだ。人気や評判が良いのはめでたいことだが、時には国家国民のために人から嫌われてでも信念を押し通す政治家が出てこないと大事は成せない」
極右・極左が台頭の懸念
そして、小沢は有権者にもこう訴える。
「これはマスコミも悪いが、日本人の特性でもある。いまは生活に困らないから危機意識がない。日々なあなあで何となく暮らしていける。しかし、それこそ『ゆでガエル』の状態で、ズルズルとまずい方向に進んでいる。これが、本当に国民生活が脅かされるような事態が起きて、その時に政権が機能しないとなったら、大変なことになる。あまりそういうことを想像したくないが、そんな危機が起きるかもしれない」
小沢は最後に政治を憂うような口ぶりでポツリとこう言った。
「極端に言えば、本当は自民も野党も含めてガラガラポン(政界再編)したほうがよいのかもしれない。自民も高市早苗君のような極右がいてどうもすっきりしないし、立憲も右と左の寄せ集め。考え方に違いがあるのはいいが、バラバラのままでまったくまとまらないというのでは、政策は一向に実現できないから国民の不満は高まるばかりで、いずれ米国のトランプや欧州同様に日本でも極右や極左のような極端な勢力が国民の不満の受け皿になって台頭することになる。
これに対外的な危機で民族意識が刺激されると、普段おとなしい日本人でも予想も付かない考えに走ってしまいかねない。歴史的に見てもそうだ。そうなれば、日本も混乱が避けられない。政治家もひいては国民も、もっと危機感を持ってほしい」
そう語る小沢の表情は、82歳の老政治家らしい穏やかさを感じさせたが、それでも言葉の端々からはなお権力闘争にかける執念や政権交代を起こすべく密かに与野党の政治家と接触していることが窺われた。
政治の閉塞感が続くなかで、果たして3度目の政権交代を起こす立役者となるのか。政界の長老となったいま、その時間は限られている。
(第1回から読む)
【プロフィール】
城本勝(しろもと・まさる)/1957年、熊本県生まれ。ジャーナリスト。一橋大学卒業後、1982年にNHK入局。福岡放送局を経て東京転勤後は、報道局政治部記者として自民党・経世会、民主党などを担当した。2018年退局後、日本国際放送代表取締役社長などを経て、2022年6月からフリージャーナリスト。著書に1993年の政権交代の舞台裏を描いた『壁を壊した男 1993年の小沢一郎』(小学館)がある。
※週刊ポスト2024年12月6日・13日号
-
- 1
- 2
外部リンク
- 《はじめから読む》自民党幹部に伝えた石破政権の宿命「連立をきちんと組まない不安定な政権では有権者に迷惑、短命に終わる」
- 《第2回》小沢一郎氏インタビュー 舞台裏で工作を仕掛けられる政治家がいない…「僕がまた本格的に動かざるを得ないかもしれない」
- 【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
- “小泉家の国家老”が進次郞氏に直言「衆院選では幹事長の言いなりで敗北、『私の思う通りにやらせてください』と啖呵を切るぐらいでないといけなかった」
- 「何を言っているのかわからない」「1分で演説打ち切り」自民党・菅義偉副総裁の様子をとらえた動画が拡散され…言葉に詰まり抑揚なく永田町では心配する声
この記事に関連するニュース
-
【2度の政権交代を成し遂げた小沢一郎氏を直撃】舞台裏で工作を仕掛けられる政治家がいない…「僕がまた本格的に動かざるを得ないかもしれない」
NEWSポストセブン / 2024年11月29日 6時58分
-
【小沢一郎氏インタビュー】自民党幹部に伝えた石破政権の宿命「連立をきちんと組まない不安定な政権では有権者に迷惑、短命に終わる」
NEWSポストセブン / 2024年11月28日 7時12分
-
立憲民主党ほど、日本に不要な政党はない…日本維新の会代表が長年の議員生活で感じた「野党の盟主」の限界
プレジデントオンライン / 2024年11月14日 18時15分
-
石破茂政権は「30年前の永田町の悲劇」と同じ道を辿っている…「政治とカネ」に翻弄される日本の政治家の愚かさ
プレジデントオンライン / 2024年11月11日 9時15分
-
「立憲民主党の躍進」はマスコミのウソ…「自公過半数割れ」の石破首相に主役を奪われた"本当の敗者"の名前
プレジデントオンライン / 2024年11月6日 16時15分
ランキング
-
1浜名湖で「幻」のメスのウナギ養殖に成功、肉厚ふっくらで脂乗りの良く…新ブランド「でしこ」として初出荷
読売新聞 / 2024年11月30日 7時32分
-
2秋篠宮さま、59歳の誕生日 皇族数の確保策に「生身の人間なので」
毎日新聞 / 2024年11月30日 0時0分
-
3【釈明】自民・田畑議員「不適切な党員登録や党費の支払いは計262人」
KNB北日本放送 / 2024年11月29日 21時33分
-
4スーパーにクマ侵入、従業員1人が顔にけが負い病院に搬送…店内に居座り続ける
読売新聞 / 2024年11月30日 11時49分
-
5野田立民代表、所信表明は今回も「スカスカ」=国民民主は政策実現要求
時事通信 / 2024年11月29日 19時16分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください