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《ノーベル文学賞受賞ハン・ガン氏だけじゃない》注目の韓流文学、いま読むべき作家たち 押し寄せるフェミニズム文学の波、新しい「社会派」小説も登場

NEWSポストセブン / 2024年12月18日 6時59分

「30〜40代の若手作家は、非正規雇用や不動産バブル、社会格差といった庶民の身近な社会問題を題材とした『ハイパーリアリズム』と呼ばれる小説を発表しています。会話主体でテンポよく読ませる手法のため、重いテーマでも読みやすいのが特徴です」

 キラキラした韓流もいいけれど、韓国のリアルが詰まった文学の“沼”もハマったら深そうだ。

古川綾子さんセレクト はじめて読むならこの一冊

『亡き王女のためのパヴァーヌ』パク・ミンギュ著・吉原育子訳/クオン 2015年発売
「ルッキズム(人の価値を外見だけで測る差別的な考え方や言動のこと)やハイスペック重視の世の中で疎外された孤独な男女が育む友情や純愛の物語。『彼女は雪に降られて立っていた』という一文が美しく、冬が来るたびに読み返す、大好きな作品です」(古川さん・以下同)

『親密な異邦人』チョン・ハナ著・古川綾子訳/講談社 2024年発売
「大切な人のために身分を偽って生きる『アンナ』と、夢を諦めた作家の『私』がつき続ける“2つの嘘”が同時進行するミステリー。Amazonプライムで配信中のドラマ『アンナ』の原作。結末は違いますが、両方楽しめます」

『韓国ドラマが教えてくれた大切なこと』チョン・ドッキョン著・西野明奈訳/かんき出版 2022年発売
「韓流ドラマ四十数本の中から印象的なせりふを抜き出し、それにまつわるエッセイが添えられた“名せりふで読み解く韓流ドラマ”。改めて『そういう意味だったのか!』という発見や、見たいドラマを探すのにも◎」

『女ふたり、暮らしています。』キム・ハナ/ファン・ソヌ著・清水知佐子訳/CCCメディアハウス 2021年発売
「結婚はしたくない、でも“ひとりは寂しい”2人が、家族として暮らすことを決意。『恋愛して家庭を作るだけが家族じゃない』と、新しい家族の形を綴っています。読んでいてどんどん引き込まれます」

『地球でハナだけ』チョン・セラン著・すんみ訳/亜紀書房 2022年発売
「ハナという女性と、2万光年を超えてハナのところにやってきた宇宙人とのラブストーリー。チョン・セランさんが『これ以上甘い話は書けない』と言い切るくらい、甘々なSFラブストーリーです」。かつてのときめきがよみがえりそう。

取材・文/佐藤有栄

【プロフィール】
古川綾子さん/翻訳家、神田外語大学講師。延世大学教育大学院韓国語教育科修了。主な訳書にハン・ガン『そっと 静かに』(クオン)ほか。最新刊は、イ・ソス『ヘルプ・ミー・シスター』(アストラハウス)、チョン・セラン『J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力』(亜紀書房)。

※女性セブン2025年1月1日号

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