103万円の壁問題とともに浮上した106万円の壁撤廃は別の経済苦を生むか パート主婦「手取りも減るってことですよね」コンビニオーナー「スポットで働く人を増やすか」
NEWSポストセブン / 2024年12月22日 7時15分
12月の風物詩として恒例となった「今年の漢字」は「金」と発表された。五輪イヤーだったので、普通ならば「金メダル」を多くの人が連想してもよさそうなものだが、2024年に限っては、物価高などで「お金がない」というような、身近な金回りのことを思い浮かべた人が多いのではないだろうか。いわゆる「103万円の壁」が撤廃されたとしても自公案は123万円で178万円を要求している国民民主と隔たりがある上に、先に実現しそうな106万円の壁撤廃で手取り増が帳消しになりそうないま、人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が労働者、中小事業者が直面する生活不安についてレポートする。
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「一般サラリーマンは何をしても手取りが減るのが現実なんじゃないですか。多少の昇給では減るいっぽうですよ」
都内の大手企業に勤める40代男性、共稼ぎの妻と子ども二人のいわゆる「パワーカップル」だが、使えるお金が減り続けていることを実感していると話す。
「社会保険料に所得税、住民税だって馬鹿にならない。給与明細なんて見たくなくなる」
この国でずっと言われ続けている「手取り減」問題。筆者は2023年に『「使えるお金が減っている」昇給しても苦しい中間層世帯が生き残るために決断したこと』を書いたが、現在も多くの現役世代の「使えるお金」は減り続けるいっぽうだ。
「夫婦二人でフルタイムでも、周りが思うよりずっと使えるお金は少ないです。たいした節税もできないまま、取られるばかりのサラリーマンはみなそうじゃないですか?」
高齢者批判じゃなくて現実
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると平均給与は2021年から微増だがそれも数%、これでは世界的な物価高に追いつかない。
さらに、この国ではそれ以上に現役世代が負担する社会保険料が上がり続けている。40歳を超えると介護保険料も徴収される。雇用保険料もコロナ禍による「雇用調整助成金」の財源枯渇の影響もあり引き上げとなった。
各業界の健康保険組合(総合健保)もまた瀕死の状態だ。とくに「2022年危機」と呼ばれた団塊世代の75歳到達によって財政悪化が急速に進んでいる。年収や加入健保にもよるが、その負担額がとんでもない数字になる人もいるだろう。
なにしろ現在の現役世代、健康保険と年金、介護を合わせた保険料率は30%に迫るとされ(健康保険組合連合会・2023年度)、とくに高齢者のための前期高齢者財政調整制度および後期高齢者医療制度など、現役世代が丸抱えしなければならなくなっている。
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