松田いりの氏、第61回文藝賞受賞作『ハイパーたいくつ』インタビュー「真実は完璧に削ぎ落とされた玉ではなく、もっと過剰でノイジーなものだと僕は思う」
NEWSポストセブン / 2024年12月20日 7時15分
「この小説を『言葉ですっぽんぽんになれている』と評してくださった選考委員の町田康さんは、ご自身の著書『私の文学史』の中で『笑えることは「本当のこと」』とも書かれている。
真実というと完璧に削ぎ落とされた玉みたいなイメージがありますけど、本当はもっと過剰でノイジーなものじゃないかと僕は思うし、特に今は一見普通に見えて、中身はグチャグチャになっている人が、周りにも多い気がするんです。とっ散らかった内面の出し方もわからないし、出してどうなる、みたいな。本書は主人公の内側で起きたことを隠さずそのまま書いたら笑えてきた感じがあって、今後もそういうノイジーで面白い本当のことを書いていけたらなと思っています」
確かに人間、一皮剥いた内側では夥しい感情や言葉が渦を巻き、その迸る言葉達が何をどう突破してくれるのか、ぜひご一読あれ。
【プロフィール】
松田いりの(まつだ・いりの)/1991年静岡県浜松市生まれ。大学進学で上京。大学在学中は劇団で脚本や演出等を手がけ、卒業後は一般企業に就職。創作活動からはしばらく遠ざかっていたが、今年1月に『ハイパーたいくつ』の執筆を開始。第61回文藝賞を初小説、初応募にして受賞し、作家デビューを果たす。「何しろまだ1作しか書いていない状態なので。果たして自分に何ができるかを、今回のような饒舌体に限らず、試して楽しみ耕していきたい」。181cm、60kg、AB型。
構成/橋本紀子
※週刊ポスト2024年12月27日号
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