【独占インタビュー】「町長がレイプするような人だから町に行くとレイプされる、と言われて……」 群馬・草津町長が虚偽の性被害を告発した新井祥子・元町議と戦った5年間
NEWSポストセブン / 2024年12月25日 7時0分
私はその話を前町長に相談しようと席を立ち、自席付近で携帯電話を持って電話をかけたのです。しかし留守電になって用件を伝えることはできませんでした。『留守電になってるよ』という私の音声も新井氏の録音データに記録されています」
草津の伝統的な入浴法「時間湯」は湯長という入浴指導者の監視のもと、高温の湯に短時間入るというものだ。薬機法の観点から、湯長制度は2019年に廃止となったが、問題の電子書籍『草津温泉 漆黒の闇5』の著者、飯塚氏は古き良き「時間湯」愛好家で、こうした動きに反対していた。新井氏の告発を収録した電子書籍発表直前に飯塚氏は、群馬県知事に対しても、電子書籍の刊行取り下げと引き換えに「時間湯」存続を求めるメールを送っていた。
玄関に立っていることがあった
新井氏がなぜ、飯塚氏に虚偽の告発をしたのか、その目的は定かではない。しかし問題となっている2015年の町長室での面会後も、新井氏は複数回、町長にコンタクトを取ってきたことがあるという。自宅にも複数回、アポ無しでやってきたのだそうだ。
「8時20分ごろ出勤しようと自宅を出ると、玄関に立っていることがありました。驚いて用件を聞くと、『町長に連絡取っても何も返事くれないじゃないですか』と、なにか私が悪いことをしたみたいに言われましたので、これはおかしいなあ、と不思議に思っていました。
あとは夜の9時ごろにも自宅に来たことがあります。自宅はガラス張りの玄関があって、応接室が隣にあるのですが、人通りもあり、外からよく見えるところなので、そこで話をしました。新井氏は『町長、お話があるんです』というので聞いていたのですが、世間話しかしないんです。のちに民事裁判では、その場でも『町長から抱き寄せられてキスされ、触られた』という主張をされてしまいました。当然ながらそれも事実無根です」
新井氏は町議になる以前から「しょこたん通信」という会報を、新聞折込にて町民に配布していた。そこで新井氏は自身の過去の不倫や、特定の町民を非難するといった内容を漫画にしていたという。また、町議としての在任期間は5年7か月であるが、その間、議会から4回、懲罰を受けている。一度目は、町民が提出した陳情書について、陳情者になりすまし無断で陳情書の取り下げをしたというものであり、新井氏も認めている。
加えて、町に居住実態がないことも判明していた。新井氏が記載していた住所のアパートは水道が止まっており、家主は「貸していない」と主張。当時、議会でこれを追及すると新井氏は、「水道の代わりとしてペットボトルの水を使って、トイレはコンビニや公園のトイレを使っていた」と主張していたという。町は新井氏を公正証書原本等不実記載罪で前橋地方検察庁に告発した(のち不起訴)。現在新井氏は、町を離れている。虚偽告発の疑いを晴らすために長い裁判を続けてきた町長は、こう振り返った。
「この5年間って何だったんだろう、と私だって思っています。いきなり町長室で性交渉しましたと言われて、黙っているわけにはいかない。そう思って戦う中、町長として一番辛かったのは世間から草津町をバッシングされたことでした。
町は関係ないはずなのに『町長がレイプするような人だから町に行くとレイプされる』というようなことを言われたんです。集団レイプ地域みたいに言われましたね。冤罪を証明するため頑張ってこられたのは、町民や議会の皆さんが自分を信じてくれていたからだと思っています」
新井氏は名誉毀損と虚偽告訴の罪で在宅起訴されたが、12月18日に開かれた刑事裁判初公判では「名誉毀損は無罪です」と主張している。
◆取材・文/高橋ユキ(ノンフィクションライター)
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