《蛯名正義氏が分析》日本馬はいかにして「世界一」になったのか その背景にある馬体やスピードの進化、調教やジョッキーのトレーニングの向上、そして多くの競馬ファン
NEWSポストセブン / 2024年12月27日 16時15分
1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、日本馬が強くなっていった“蹄跡”についてお届けする。
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有馬記念も終わって、世間はもう正月を待つばかりといったところでしょうが、中央競馬は12月28日(土)まであるし、年明けは1月5日(日)から始まるので、普段の週とほとんど変わらないですね。
2024年の秋、JRA70周年を記念しての東京国立博物館での特別展示は「世界一までの蹄跡」というタイトルでした。イクイノックスが国際競馬統括機関連盟発表の2023年のベストレースホースとなり、彼が勝ったジャパンカップがベストレースに選ばれたからです。
近年の日本馬の海外での活躍はご存じの通り。僕が初めてフジヤマケンザンで香港のレースを勝ったのが1995年。日本人ジョッキーの騎乗で日本調教馬が海外のレースで勝ったのはこれが初めてだったそうです。当時のことを思えば隔世の感があります。2024年も延べ100頭以上の日本馬が海外レースに出走、「GIを一つも勝てなかった」ことが話題になるほど、活躍するのが当たり前のようになったんですから。
目に見えるところでいえば、馬体は大きくなりました。かつては300キロ台も数多くいたし、逆に500キロを超えているような馬にはめったにお目にかからなかった。大きければ強いということでもなかったけれど、小さな馬は乗りづらさがありましたし、車と同じで大きければ走っているときの安定感はあります。
日本馬の持ち味はなんといってもスピード。イクイノックスは2023年の天皇賞(秋)を1分55秒2で走りましたが、昔は1分57秒台で走る馬さえいませんでした。マイルGIだって30年ほど前の勝ち時計は1分33秒台でしたが、今それではとても勝ち負けにならないでしょう。
日本馬が強くなった背景にあるのはやはり血統。僕がデビューした頃は、サラ系といって血統がはっきり分からない馬や海外ではあまりニーズがないような種牡馬が多かったのかもしれませんね。今考えれば日本ではまだまだ競馬という競技自体が認知されていなくて、社会的に成功した人が馬主になって競馬を楽しむというようなことがあまりなかったのでしょう。
馬が速くなっただけじゃなくて、馬場も年を追う毎によくなっているし、人のレベルも上がっている。ジャパンカップで海外の馬が来日するようになって情報量も増え、調教のレベルも上がっている。サプリメントなども摂らせるようになってきました。
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