最強軍団・大阪桐蔭から「大成するプロが出ない」現状 戦力外となった最強世代エース・柿木蓮にぶつけると「入団してから成長できない自分の責任」
NEWSポストセブン / 2024年12月24日 18時59分
北海道日本ハムを戦力外となった元大阪桐蔭のエース・柿木蓮は、入団2年目の2020年シーズン中にイップスを発症していたことを明かした。試行錯誤を繰り返しながら、入団4年目の2022年には初めて1軍登録され、4試合に登板する。しかし、オフに入って支配下から育成に降格する──事実上の戦力外通告を受けた。柿木は球団からの育成打診を受諾したが、「37」の背番号は翌2023年シーズンから3桁の「137」になった。(前後編の後編。前編から読む)
「父親からは『十分に頑張った』と引退を勧められました。だけど、初めて1軍で投げることができて、自分なりに手応えを感じていたタイミングだったんです。育成に落とされたショックよりも自分への期待が勝っていました」
2023年シーズンは7月末までに2軍の27試合に登板し、3勝1敗で防御率は2.12。プロ入り後、初めて納得できる結果を残せていた。周囲だけでなく、誰より自分自身が支配下への返り咲きを期待したが、声はかからなかった。
「どうしたら支配下になれるんですか」
柿木は球団関係者にそう詰め寄った。
「プロに入ってからの4年間で一番良い状態だったんです。7月中旬頃に、ふたりの外国人選手が退団して支配下の枠が空いていた。チャンスはあるかなと思っていたんですけどね。当時の2軍監督だった木田優夫監督に呼ばれて、『チーム事情もあるし、支配下の枠(70人)の問題もあるから』と説明されたあとに『もっとスピードを上げて欲しい』と言われました」
柿木の直球のMAXは151キロ。これは高校時代最後の夏の甲子園で記録したもので、プロに入ってからは150キロが最速だ。高校時代の自分を超えられないことほど、屈辱的なことはないかもしれない。プロ入りしてからずっとスピードを追い求めてきた柿木にとって、木田の言葉は心に重く響いた。
「悔いはない。でも、すぐに野球をやめようとも……」
2024年シーズンも爪が割れるアクシデントがあって支配下にはなれず、柿木は白星も黒星もつかないまま、2度目の戦力外通告を受けた。
「プロ野球選手として何もしていないですよね。ただ、悔いはないです。悔いを残さないように毎日を過ごそうとしてきましたから。だからといって、すぐに野球をやめようとも思わない。もう一度、勝負したいです」
柿木が大阪桐蔭に入学したのは2016年4月だ。夏の選手権大会が100回目を迎える2018年に3年生となる柿木らの世代は、入学の前から逸材揃いだと注目を集めていた。根尾昂(現ドラゴンズ)や藤原恭大(現千葉ロッテ)らが中学時代から名を馳せるなか、佐賀出身の柿木もボーイズジャパンに選ばれた注目選手の一人だった。
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