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《仁科克基が語った絶縁の父・松方弘樹への感謝》「師匠と弟子みたいな関係だったけど…」、俳優業の傍らで始めていた「障害者就労支援施設」運営

NEWSポストセブン / 2025年1月7日 10時59分

 仁科さんは近年、亡き父・松方さんの持ち役であった『遠山の金さん』を舞台で演じるなど、活躍の場を広げている。このまま芸能界に身を置いて仕事と向き合っていくのかと思いきや、実は今、役者業の傍らで取り組んでいる事業があるという。

「2023年6月に宮崎県の日南市に、ITに特化した就労支援施設のフランチャイズ『ヒカリマーリン』をオープンしました。障害を持つ方々に対してプログラミング言語やウェブデザインなどの専門講師による個別指導を行い、生活的、経済的、精神的自立のサポートをしています」

 きっかけは、提携パートナーであるガルヒ就労支援サービス合同会社のCEO・宮脇正氏と釣り番組を通して知り合い、施設の見学に行ったことだった。

「身体に障害を持つ方もいれば、精神的に障害を抱えている方、知的障害がある方が一緒に学ばれているのですが、その真剣なまなざしを前に、“人って、こんなに一生懸命、何かに打ち込めるのか”と思いました。障害を持つ方は、全国にたくさんいますが、今まであまり視界に入れないようにして生きてきたのかもしれないと思い当たり、ハッとしました。同時に、少しでも彼らのサポートができれば、と強く感じたんです」

 東京に戻り、母に打ち明けたところ、「一緒にやろう」とトントン拍子に話が進んだ。オープンから1年半近く経った今は、2つの施設を運営しながら、約25人ほどの就労支援を続けている。

「毎月、現場に通っていますが、事業所に来た頃はパソコンの電源を入れるのが精一杯だった利用者さんが、WordやExcelを使いこなし始め、IT関連の資格を取り、やがてゲームやホームページまで作れるようになって……。一歩ずつ成長して羽ばたいていく様子を間近で見られることが、嬉しいんです。

 障害を持つ方の多くは、非正規雇用であったり、雇用されたとしても最低時給だったりして、生活が苦しいのが現状です。そういう方々が、ITスキルを身につけることによって、10円でも100円、200円でも高い時給で就職・就労できるようサポートさせてもらえるのは、本当に社会的意義があることだと思っています」

「国からの認可を受けてやる仕事ですし、地に足をつけて取り組まないと」と、決意を新たにする仁科さんに、今後はより福祉事業にシフトしていくのかと尋ねると、

「テレビや舞台のお仕事も大事ですし、お話をいただければ、貪欲に頑張らせていただきたいです。でも、役者という肩書きを持つ人って、星の数ほどいるじゃないですか。今の自分としては、僕にしかできないことをやっていきたいんです。福祉事業もそうですし、あとは自身が経験した、男性不妊の葛藤や治療の大変さについても、多くの方々に伝えていけたら本望です」

 若かりし頃、名俳優の息子として数々の“伝説”を残してきた仁科さんだが、父になった今、その顔つきからは、一家を支えていくのだという気概すら感じられた。

「これまでさんざん、好きにやらせてもらったぶん、これからは社会、そして家族のために生きていけたらと思います。妻と息子に対しての想いは、“守りたい”っていう、そんな簡単な言葉では表せません。やっぱり、大きな覚悟を持って、これからの人生を歩んでいきます」

(了。前編を読む)

取材・文/梶原薫 撮影/山口比佐夫

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