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韓国機事故で179名が死亡、2人の生存者が座っていた“生還しやすい座席” 相対的には「前方より後方」「窓側より通路側」「非常口付近」

NEWSポストセブン / 2025年1月7日 7時15分

 どの航空会社でもファーストクラスやビジネスクラスなどの上級シートは前方に設けられており、これは乗降しやすく、エンジンから遠いので、騒音や揺れが少ないためだが、事故が起きた場合、前方座席の生存率は高いとはいえない。1985年に御巣鷹山で起きた日航ジャンボ機墜落事故での死者は520人。4人の生存者がいたが、すべて後方座席に座っていた乗客だった。

 2014年、台湾の澎湖島で起きた復興航空機墜落事故では乗客乗員58人のうち48人が死亡した。生存者10人中7人が後方座席の乗客で、1~6列目までの前方座席に生存者はいなかった。このように、実際の事故のケースでみると後方座席が助かるケースが多いようだ。これにはいくつかの理由が考えられる。

「航空機事故が起きるのは離陸時が8.5%、着陸時が53%というデータがあります。どちらかというと、着陸時は機首から突っ込むケースが、離陸時は機体後方をひきずるケースが多い。機首から突っ込めば当然、機体前方の方が先に衝撃を受けます。その分機体後方にかかるダメージが小さくなるので後方の方が機体の損壊が小さいといわれています。そのため、相対的に機体前方の座席の被害が多いのかもしれません」(航空ジャーナリスト)

 米誌『ポピュラーメカニクス』と『タイム』が米国家運輸安全委員会のデータを基に2007年に行った調査によれば、1971年以降に発生した旅客機事故の座席別の生存率は、後方座席が69%、中央座席が56%、前方座席が49%で、座席の位置によって20%もの開きがある。

 実機を使った大掛かりな実証実験も行われている。2012年に米映像配信大手「ディスカバリーチャンネル」が墜落事故の再現実験を実施。本物の旅客機を砂漠地帯に墜落させ、その衝撃度を調べたのだ。地球上に何もせずいるときに体にかかる重力は1Gと定義されている。実験では前方座席に置かれたダミー人形には即死レベルの12Gがかかって機首は粉々。中央座席は8Gでこちらも即死か重傷相当。後方座席だけが生存可能性のある6Gという結果になった。 

 こう聞くと後ろの方に座りたくなるが、年末年始やお盆などの繁忙期は自由に座席を選べないことも。やはり避けるべきは、前方座席なのだろうか。運輸事故調査システムの構築に寄与した、関西大学名誉教授の安部誠治さんが語る。

「どんな事故が起こるかによって生存率が高い席は変わります。御巣鷹山のように機首から突っ込んだ場合は後方座席の人が助かる可能性が高い一方で、滑走路に後方がぶつかる『尻もち事故』のように、機体後方が破壊される事故もある。ただ、強いて言えば、後方座席の方が生き残りやすいというのはあるかもしれません。また、窓側より通路側の方が身動きを取りやすく逃げやすいので、迷ったら通路側を選ぶといいかもしれません」

 非常時に乗員の手伝いを求められるが、足が伸ばせるなどの理由で選ばれる非常口席も安全性は高い。英グリニッジ大学が2011年に、105件の旅客機事故の座席表を分析し、2000人超の生存者から話を聞いてまとめた研究によれば、最も生存率が高かったのは、早めに脱出できるという理由で、非常口のすぐ隣かその前後1列にいた乗客だったという。非常口の前後5列以内は生存率が上がるとも報告されている。

 もしものときの生存率を高めたい人は、「後方座席、通路側、非常口付近」を選んでみてはどうだろうか。
※女性セブン2025年1月16・23日号

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