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「東大卒という肩書があっても恐ろしいほどESが通らない」東大法学部卒YouTuberが「既卒2年目」で挑んだ就活の誤算

NEWSポストセブン / 2025年1月13日 15時59分

 そして、地元の企業も東大とはいえ、卒業してから2年も経っているヤバイやつを雇いたいと思うほど革新的な風土はなかった。

 新卒であれば通ったであろうエントリーシートの段階で、僕はことごとく落ちていった。

 浪人や留年と違って、既卒だけが就活市場でヤバイやつ認定を受ける。どこにも就職が決まらないほど難がある人なのかな、卒業してからプラプラ遊んでいた怠惰な人なのかな。そういった印象を企業に与えてしまうからだ。

 しかし、僕は大学を卒業してから2年間決して遊んでいたわけではない。なんなら、人一倍努力をしていた。しかし、その努力は決して企業から認められるものではなかった。いや、それどころか、その努力は存在すらしないものにしなければならなかった。

 就活でよく聞かれることといえば「学生時代に頑張ったこと」だ。だが、僕は勉強・部活・バイト、どれも月並み。そんな僕の中で最も力を入れたと自信を持って言えるのが「演劇」だった。そのため、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)はそれについて話そうとした。目標は「役者」、頑張ったことは「演劇」、これで行こう。しかし、これが全然ダメだった。

 そもそも僕が役者の道を諦め、就活をしている時点で目標を達成できていない。だから、努力の信憑性すらなかった。途中でガクチカ上での目標を下げ「いい舞台をつくること」に切り替えたが、これも芸術特有の曖昧さが仇となり、僕の言語化能力では定量的に説明することができなかった。

 たまたま通った面接でも、演劇について興味を持って触れられることはほとんどなかった。それどころか、「やるべきことから逃げていただけじゃない?」と何処の馬の骨ともわからんガタイだけ一丁前の体育会野郎に一蹴された。「やるべきこと」ってなんだよ、お前がつくった檻の世界に僕を閉じ込めるなよ。自分からその檻の世界に入ろうとしている僕にそんなことを言う資格はなく、お得意の愛想笑いでその場を凌ぎ、結局不採用をいただいた。

 僕が既卒になってまでやってきた努力なんて企業からすればゴミクズ同然だった。就活には「就活向きの努力」が必要、それを痛いほど感じた。

 そこからは大企業という目標を下げ、ガクチカも定量的に説明しやすい受験勉強にした。就活では、僕が人生を賭けて挑んできた演劇は黙殺しなければいけなかった。

 もちろん、面接では卒業してからの2年間のことについて聞かれた際には正直に言った。しかし、企業側も特にそれ以上掘り下げることはなく、大学時代の勉強や部活のことについて触れていった。

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