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石井千湖さん、12人の読書家を取材した『積ん読の本』インタビュー 「本の読み方はもっと自由でいいんだと教えられました」

NEWSポストセブン / 2025年1月19日 16時15分

 今回、「積ん読」をテーマにした取材に応じているのは男女12人。作家、研究者、翻訳家、書店主など、本にまつわる仕事につき、大量の蔵書を持っている人たちだ。

 取材に際しては、整頓しすぎず、できればありのままの本棚を見せてほしいとお願いしたそうで、ページを開くと本の山、また山が現れる。

 届いた本を玄関先にまず積んで、壁沿いに少しずつシステマティックに移動させていく人(作家・声優の池澤春菜さん)や、部屋からあふれた本をボックスに収め、野ざらしでベランダに置く人(作家の小川哲さん)など、「積ん読」の風景は人それぞれだ。

「積ん読」に関する考え方もみごとにバラバラ。「自分専用の図書館をつくっていると思えば」(作家の柴崎友香さん)、「読んでない本があると、世界は外に広がっている」(書店主の辻山良雄さん)などなど、「積ん読」をポジティブにとらえる言葉が紹介されている。

 かと思えば作家の角田光代さんのように、「積ん読」はなるべくしたくない派の人もいる。「積ん読」状態の本はなるべく机の上に見えるように置き、月一回は壁一面の本棚を整理する人を設けて整然とした状態をキープする。

「『なぜ積ん読するのか』は取材で必ず聞くようにしていましたが、答えはみごとにバラバラで、名言がバンバン飛び出して面白かったです。もちろん、ふだんから本を読むことについて考えておられる方たちということもありますが、『積ん読』という言葉が名言を引き出した面もあると思います」

「本を読むのが苦手」だというエッセイストで作家のしまおまほさんの「積ん読」の風景も紹介されていて、「本をたくさん読むのがえらい」という流れに必ずしもなっていないのもいい。

本の本ではあるが、マウンティングの感じは全然しない

「本の本って、ちょっとマウンティングみたいになりがちで、それが苦手だと感じる人がいるみたいなんです。『積ん読』の本は、読んだ本じゃなくて読んでない本についての本なので、そういう感じが全然しなくてよかった、という感想をくれた人がいました」

 しまおさんや、小川哲さんのように、最初に「積んだ」本のことを記憶している人がいる、というのも驚きだった。

「読者アンケートで、『何冊、積ん読していますか』という質問に『数冊』と答えている方がいらして、そういう人たちもこの本を買ってくださったということは、『積ん読』というのは生活と結びついたもので、冊数じゃなく状態の問題なんだというのも気づいたことです」

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