松山英樹が開幕戦で「賞金5億円獲得」課題の劇的改善を支えた「新兵器パター」の正体
NEWSポストセブン / 2025年1月18日 7時15分
いきなりの活躍に日本中が盛り上がった。昨季の優勝者と年間ポイントランク上位50人だけが出場できるPGAの開幕戦(ザ・セントリー)で、ツアー新記録の通算35アンダーで11勝目を挙げた松山英樹(32)。賞金360万ドル(約5億6520万円)を獲得し、年間王者に向けてスタートを切った。ゴルフ担当記者が言う。
「松山はショットや寄せは世界トップクラス。課題はグリーン上だった。昨季は2勝を挙げているが、年間のスコアにおけるパットの貢献度は全体の121位だった。今大会はパットが好調で、6mから10mのパットが面白いように決まり、72ホールで2イーグル、33バーディ。今大会のスコアにおけるパットの貢献度は3位でした」
劇的な変化を生んだのは、この大会から新たに導入した「パター」だった。松山は最高峰のパターとして知られる「スコッティ・キャメロン」を使ってきたが、今大会ではそのキャメロンの「センターシャフト」のパターを持ち込んだ。松山は優勝後のインタビューで「手に入ったのはクリスマスの後で、ハワイに来て初めて使った。(何がよかったかは)わからないけど入った」とコメントしている。
畑岡奈紗も愛用
センターシャフトのパターは、通常「ネック部分」についているシャフトがヘッドの「中央」についているのが特徴。これまでのものと何が違うのか。クラブ設計家の松尾好員氏が解説する。
「打球具(球を打つもの)としては、軸(シャフト)の延長線上で球を打つのは最も自然です。恐らくゴルフをやらない方にとっては軸線で球を打つのは一番打ちやすいはずです。
大昔、最初はアイアン型のパターが多かったですが、センターシャフトのほうが球をヒットしやすいと発見されたことで多くのセンターシャフトパターが生まれ、現在はゴルフの用具規則でパターだけがセンターシャフトを許されています。
センターシャフトはシャフトの延長線上でボールをヒットするので、ショートパットではちょっと強めにコツンとヒットするタップ式(インパクト強めのパッティング)にも合っている。センターシャフトパターはフェース面がシャフト軸より前方(打つ方向)にあることで、特に引っかけずに打ちたい方に向いていますが、フェース面の打点が大きくズレてしまう点には注意が必要です。プロでも愛好家は多く、米女子ツアーで活躍中の畑岡奈紗さん(26)は競技に出始めたアマチュアの頃から使っています」(松尾氏)
つまり、フェースの芯でボールが捉えられるため、一貫性のあるストロークが実現するが、反面、芯を外した時には方向性や距離感でミスが出やすいと言うことでもある。松山の活躍によってアマチュアにも「センターシャフト」ブームが起きそうだが、果たして使いこなせるか──一考の価値はあるかもしれない。
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