《早くも話題に》バカリズムこだわりの「助演女優×雑談」で再ヒットを狙うドラマ『ホットスポット』
NEWSポストセブン / 2025年1月26日 11時15分
2025年1月期の冬ドラマの放送が始まっているが、中でも注目作はバカリズムが脚本を手がける『ホットスポット』だ。その見どころを探っていくと、いくつかのキーワードが見えてきた。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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バカリズムさんが脚本を手がけるドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜22時30分~)の第1話のTVer再生数が早々に300万回を超えたほか、SNSも好意的な声が目立つなど、上々のスタートを切りました。
同作のコンセプトは、「富士山麓のとある町には、地球外生命体が潜んでいた! ビジネスホテルで働くシングルマザー・遠藤清美41歳。ある日、彼女はひょんなことから宇宙人と遭遇し…!?小さな田舎町で不思議な出来事が起こったり起こらなかったりする、脚本バカリズム 地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー!」。もし宇宙人が日常生活の中に潜んでいたら…というファンタジーをベースに田舎町の人間模様を描いた作品です。
ある日、仕事帰りの主人公・清美(市川実日子)は交通事故に遭いそうになるが、間一髪のところで職場の先輩・高橋(角田晃広)に命を救われた。しかし、清美を助けた高橋の人間離れしたスピードと腕力は「宇宙人だから」であり、それを知った清美の日常が変わりはじめていく。
ファンタジーの設定は主人公・近藤麻美(安藤サクラ)がタイムリープを繰り返した『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)と似ていますし、同作のようなバカリズムさんらしい脱力した世界観は好発進できた理由の1つでしょう。
『ブラッシュアップライフ』との共通点
さらに「東京ドラマアウォード2023」「ATP賞テレビグランプリ」など多くの受賞歴を誇る『ブラッシュアップライフ』と似ているのは、中堅女優をそろえて雑談のような会話劇で視聴者を引きつけていること。
『ブラッシュアップライフ』では、安藤サクラさん、夏帆さん、木南晴夏さん、水川あさみさんの会話で引きつけつつ、市川由衣さん、野呂佳代さん、臼田あさ美さん、山田真歩さんらも出演しました。一方、『ホットスポット』でも、市川実日子さん、鈴木杏さん、平岩紙さん、夏帆さん、坂井真紀さんらが出演して力の抜けた会話劇で楽しませていますし、今後も木南晴夏さん、菊地凛子さんらの出演が予定されています。
さらに今作を見ていて気づかされるのは、前作以上に会話劇の要素が濃く、より力の抜けた雑談のようなシーンを前面に出していること。第2話の序盤でも美波が「地元にテレビ撮影が来てインタビューを受けた」という話題が延々と続くシーンがありました。
そこから「『富士山は静岡と山梨どっちのものだと思いますか?』って」「出た!」「まだそんなネタやってんの?」「古いよね。てかどっちでもいい」「何て答えたんですか?」「絶対、山梨のものでしょ」「そこまで思ってないでしょ」「でもそれじゃ使われないじゃん」「制作の意図を汲んだんだ」「そしたらさ、でも人口は静岡のほうが多いですけど、ってちょっとあおってくんの」「うざいでしょ。対立構図作りたくて必死なの」などと流れるような会話の連続。
その後、「でもさ、40すぎると記憶力落ちない?」「別に落ちてないし」「絶対みえはってんじゃん」「変わってないよ。ホント変わってないよ」「記憶力落ちたこと事態忘れてんじゃない?」などと話が変わったあと、最後に清美の「ちなみに実はこれとほぼ同じ会話を半年前にしたことをたぶん2人は忘れている」という心の声で締めくくられました。
助演女優として支えてきた安心感
さらに「高橋が宇宙人であること」を共有する清美、葉月、美波の3人が高橋をイジるような会話に発展していく様子が笑いを誘い、作品そのものの魅力につながっています。
このような脚本・演出は3人を演じる市川実日子さん、鈴木杏さん、平岩紙さんのナチュラルな芝居あってこそのものでしょう。バカリズムさん自身、「どこにでもいる普通の人を演じられる」という彼女たちの強みを最大限に生かすような脚本を手がけている感があります。
また、視聴者にとって大きいのは、「彼女たちはバイプレーヤーとして地道に積み上げてきた実力と実績があると知っている」こと。人気や芸能事務所との関係性を優先したキャスティングではなく、多くの作品を支えてきた中堅女優が集結した作品という安心感があるのです。
そんな“バカリズムさんの脱力した会話劇×実力・実績ともに十分の中堅女優”という組み合わせは、翌朝の仕事や学校が気になる日曜夜のイージーウォッチングに最適。2015年4月にスタートした日本テレビ22時30分~の「日曜ドラマ」は、これまで37作が放送されてきました。
しかし、2018年の『今日から俺は!!』、2019年の『あなたの番です』と『3年A組-今から皆さんは、人質です-』、2023年の『ブラッシュアップライフ』がヒットした以外は苦戦した作品が多く、『セクシー田中さん』で悲しい結果を招いてしまったのは記憶に新しいところ。だからこそ安心して楽しめるうえに癒しも感じるバカリズムさんの新作は救世主のような感があります。さらに「今後も同枠は安心や癒しを感じさせる路線をベースにしていけばいい」という道しるべになったのかもしれません。
振り返ると、バカリズムさんが脚本を手がけ2017年に放送された『架空OL日記』(日本テレビ系)でもOLたちの雑談が最大の魅力となっていました。『ブラッシュアップライフ』の成功を受けた『ホットスポット』はその作風をさらに加速させているだけに、最後まで視聴者を楽しませてくれるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
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