《司忍組長の誕生日を前に》神戸山口組・井上邦雄組長の自宅に「火炎瓶」投げ込み…元山口組系暴力団幹部の素性と“因縁”
NEWSポストセブン / 2025年1月26日 16時15分
もともと神戸山口組と國領屋一家には遺恨がある。
2016年8月10日、静岡県浜松市の國領屋一家の本部と、國領屋一家の傘下にあった服部会の事務所に、立て続けにトラックが突っ込んだのだ。トラックはいずれも盗難車で、実行犯は神戸山口組系の組員だった。加えて鈴木容疑者の服部会は、トラックが突っ込まれた2年後、住民や弁護士、警察との協議によって事務所を撤去している。
「八代目霊岸島桝屋服部会」の名前にある「桝屋」の一統はテキヤ系組織である。浜松市が編纂した市史には昭和40年頃の市内についてこう言及がある。
〈当時市内に的屋(てきや)祭礼・縁日または繁華街の路上等で客を集め、品物を売る商人。香具師(やし)霊岸島桝屋一家服部組と博徒国領屋が勢力を二分していた〉(『浜松市史・五』)
テキヤは分家を繰り返して増殖するが、「桝屋」系統の中でも、現・服部会は山口組の代紋を持つ実力派として知られていた。ただし今は警察のマークが厳しく、指定暴力団の代紋を持っているとお祭りに露店を出せない。そのためテキヤ系組員の偽装破門はどの組織でも横行している。
2005年あたりから、雑誌の取材で集合写真を撮ることになっても、露店でバイ(編注:商売)を行なう組員らは写真にうつり込まないようになった。いっそ本当に脱退すればいいと思うのだが、それなりのメリットがあるのか、暴力団が金づるを手放さないのかは判然としない。
鈴木容疑者が実行犯としてうってつけな理由
今回の事件は2016年に起きた事件の報復だろうか? かつて『マル暴』だった警視庁の退職警官が語る。
「昭和の抗争は即座に報復するのがセオリーだった。身内が殺されると、ヒットマンは葬儀にすら出席せず地下に潜った。対して現代の抗争は『忘れた頃に報復する』スタイルに変化している。暴力の代償が大きいので何度も攻撃できないし、確実な戦果を上げるため、相手の油断を待つ必要があるのだ。とはいえ、今回はあまりにも期間が空きすぎている。2016年の報復なのか断言できない」
何者かに依頼されて事件を起こし、報復を偽装した可能性もあるという。車両が突っ込んでも器物損壊程度で、いきなりトップの命を狙うとは考えにくいからだ。加えて当事者同士に遺恨があれば、裁判になっても「自分のメンツを回復するために報復した」という犯行動機にリアリティが生まれる。
「抗争事件では、組織の上層部に責任を波及させないよう、細心の注意を払わねばならない。六代目山口組のために事件を起こしたと判断されないよう裁判を戦うには、破門者である事実と、かつての遺恨はうってつけの材料」(同)
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