《異例の10時間超え》怒号が飛び交ったフジテレビ“やり直し会見”をどう評価するか 作家・甘糟りり子さん「役員に一定数の女性を入れたほうがいい」「望月記者のような切り込む人も必要」
NEWSポストセブン / 2025年1月30日 11時15分
中居正広と女性のトラブルを巡り、フジテレビの港浩一社長らが1月27日に“やり直し会見”を行った。191媒体437人の報道陣が集結。会見中、一部の報道陣から怒号が飛び交うなど、波乱の会見となった。作家の甘糟りり子さんはどう見たのか。
* * *
十時間以上にも及んだフジテレビの記者会見。長時間の記者会見としてはギネス第2位だそう。中継を見ているこちらも、途中から、お手洗いと食事はどうするのか気になって仕方がなかった。それはさておき、フジテレビは役員に一定数の女性を入れた方がいいのではないだろうか。ずらりと並んだスーツ姿の中年&老年男性、司会者も中年男性という様子を見て、そう思った。
特に今回のように女性が被害者である場合、男性の視点だけでいいわけがない。無理がある。挙手をして司会者が質問者を決めるスタイルだったが、やっと女性に質問する順番が回ってきたのは開始から約一時間半後。ことの発端は中居氏の「女性トラブル」である。見え方を考えたら早い段階で女性からの質問を受けた方が得策だと普通は考えるはずだが、おじさんたちだけで物事を回す癖がついているとそういう考えにも辿りつかないのだと思う。まあフジテレビに限ったことではないけれども。
「被害者のプライバシー、体調優先」は言い訳にしか聞こえない
「紙芝居会見」((c)文春)の反省からだろうが、フリーの記者もネット媒体も入れ、時間制限をしなかったのは良かったが、結局のところうやむやだったことの多くはうやむやのまま終わった会見という印象を持った。
SNSでは主にフリージャーナリストたちの質問という形を借りた主張語りへの批判も少なくない。主張語りに走ったのは女性だけではないが、女性記者に対しては「甲高い声」で「ヒステリック」に「わめく」という紋切り型の表現が多用されている。女性男性を問わず、あまりにも長く、要領を得ない主張語りには私もうんざりした。しかし、ああした会見では、東京新聞の望月記者のような相手の探られたくない腹を探るためにぐいぐい切り込んでいく人も必要ではないだろうか。記者会見はグループインタビューじゃないんだからね。
記者たちの強い口調や主張語り批判に流されて、結局、何のための会見だったのかが曖昧になってしまっている。「被害者のプライバシー、体調優先」はもちろんではあるが、フジテレビはそれを言い訳にしているようにしか聞こえない場面が多々あった。
被害女性より国民的スターを守ったのか
中居氏とのトラブル、女性の被害を知りながらも『まつも toなかい』を打ち切りにしなかったのは、被害者の(心を)刺激しないようにという配慮だという。松本人志氏は性的行為を強要した疑惑が持ち上がり、その疑惑を晴らすこともせずに(できずに、という方が正しいのかもしれない)芸能活動を休止したというのに、である。(それにしても、司会者二人が性的トラブルの疑惑を晴らせずに画面から消えるとはすごい番組だ)
それどころか、中居氏をパリ五輪のキャスターやスポーツ特番に起用しているのだから、被害女性へ刺激うんぬんは後付けの言い訳にしか聞こえない。トラブルのことを最低限の人数でしか共有していなかったため、スポーツ局の関係者たちはトラブルを知らなかったから起用したというが、コンプライアンス推進室にも担当役員にも知らせていなかったとは、組織がまともに機能していないと言わざるを得ない。何のためのコンプライアンス推進室であり担当役員なの?
これでは、結局被害女性より国民的スターを守ったと受け止められても仕方がないのではないか。
フジサンケイグループ代表の日枝久氏が登壇しないことについての理由もかなり苦しいものだった。同じグループの人間である日枝氏に敬語を使っていたりで、怖がっていることはありありとわかった。
女性アナウンサーを伴った接待、食事会について、港浩一前社長は「接待要員ではなく仲間として宴席を囲む感覚」といった。呼び出されている女性たちがみんな同じように受け止めていたとは考えにくい。こうしたおめでたい感覚もおじさんたちだけ物事を進めてきた弊害だと思う。また遠藤龍之介副会長は「最初からその女性を一人で会合に差し出すというケースは少のうございまして」と説明した。彼らには宴席において女性は「差し出されるもの」という感覚が無意識のうちにあるのだろう。自分たちとその周辺以外の人への想像力が乏しい、もしくは偏っているのだ。繰り返すけれど、企業はフジテレビに限らず、一定数の女性を役員に入れるべき。
「ギネス級の長時間」や「フリージャーナリストたちの過剰な主張語り」「質問者たちのここぞとばかりの上から口調」でフジテレビには少々の同情も集まったようだが、そこだけに注視していては何の解決にもならない。
外部リンク
- 《日枝久相談役に問われる進退》「フジテレビの“お父さん”。恩義を感じている社員は多い」局員が明かす“フジの天皇”の人物像
- 「上司に具申できない空気はある」「余計な手間をかけさせたくない」フジテレビの“風通しの悪さ”を助長する評価制度に潜む弊害とは
- 《フジテレビ10時間超え会見》「静かにしてください、マジで!」通販新聞・佐藤記者が現在の心境を吐露「むしろ反省しています…」と恐縮
- 「知っていたらすぐ打ち切っていたのに…」フジ・バラエティ現場が港浩一社長の会見に“本音”を吐露《「女性を守ることを最優先に」へ社内から疑問の声》
- 《X子さん強制参加の誕生日会》フジ・港浩一社長が語った“編成幹部A氏関与”と「楽しませていただいてありがたかった」「思いが至らなかった」
この記事に関連するニュース
-
フジテレビ会長・社長辞任…“フルオープン”やり直し会見に日枝相談役の姿なし トラブルは“特殊な案件”…中居氏起用継続「完全に間違ったとは言い切れない」【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月28日 15時44分
-
「しっかりしろ!」フジテレビ、10時間超会見で飛び交う怒号 守秘義務とプライバシー、取材陣いらだち「記者の行儀」に批判も
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月28日 11時30分
-
失言で大混乱フジテレビ 日またぎ会見「日枝氏はなぜ出てこない」「トカゲのしっぽ切り」怒号も
スポーツ報知 / 2025年1月28日 5時0分
-
フジテレビ、怒号飛び交った10時間半 “やり直し会見”の要点を振り返る
ORICON NEWS / 2025年1月28日 2時28分
-
「トカゲの尻尾切り」フジテレビやり直し会見にSNSでは厳しい声「何のための…」「相変わらずグダグダ」
スポーツ報知 / 2025年1月27日 17時19分
ランキング
-
1ホラン千秋「突然クビになった」レギュラー番組暴露 現在は「悔しさをバネに…赤坂で活かしております」
スポニチアネックス / 2025年1月27日 22時8分
-
2フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月29日 13時32分
-
3《安藤優子キャスターの夫にも波及》フジテレビ問題、制作会社スタッフに広がる不安「“3割カット”からさらに削られる」
NEWSポストセブン / 2025年1月30日 16時15分
-
4「1月末までフジテレビ解説委員で2月からフリー…」…「めざまし8」で古市憲寿氏がフジテレビ「解説委員」の「退社」を伝えスタジオ騒然
スポーツ報知 / 2025年1月30日 8時47分
-
5フジテレビ、日枝相談役の進退議論せずと説明、辞任申し出も「ない」…清水社長が取締役会後に取材応じる
スポーツ報知 / 2025年1月30日 17時18分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください