全国大会総なめの“究極の花火” 製作不可能といわれていた

NEWSポストセブン / 2013年8月3日 7時0分

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作るのは不可能といわれてきた五重芯の花火

 夜空に開けば、均等な同心円が広がり、6重の大輪が開く。この道40年以上の花火師・野村陽一さん(野村花火工業)が初めて世に送り出し、全国大会を総なめにした“究極の花火”こそ、10号玉の「五重芯」だ。

 直径約30cmの10号玉の中に、6重の層ができているこの花火は、作るのは不可能といわれてきた。写真のようにいかにきれいな円を描くかが職人技の見せ所だという。とはいえ、花火の魅力は夜空の大輪だけでない。もう一つの目玉は、スターマイン。音楽に合わせて連続で打ち上げる、大がかりな仕掛け花火のことだ。

 野村さんいわく、「花火師は映画監督で、役者は花火」。競技会では制限時間2分半の中に、映画2時間に匹敵するストーリーを盛り込むという。審査でも、花火の美しさだけでなく、音楽とのバランスや、構成力を問われる。

 よって、スターマインの仕込みには、アイデアの練り込みも合わせれば1年以上かかってしまう。野村さんはかつて、デュエット曲を選び、男声と女声に合わせて花火の色を変える演出をしたことがあるという。

「花火に限らず、アイデアを形にするのは難しいことです。花火職人は今や、感性を併せもった演出力が要求されている時代なのです」(野村さん)

 1年かけて準備した花火はしかし、一瞬で終わる。一瞬だからこそ人々の脳裏に焼き付けたい──花火師たちの思いは、今夏も、あちこちの夜空で大輪の花を咲かせている。

写真■野村花火工業

※週刊ポスト2013年8月9日号

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