親族間の窃盗には刑の免除あり 配偶者や親子間は罪問われず

NEWSポストセブン / 2013年9月8日 16時0分

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「妻の実母が家に上がりこみ窃盗行為。訴えるのは難しいのか」という質問が寄せられた。

【質問】
 昨年から家の小銭が紛失することがあり、不審に思いカメラを設置してみると、近所に住む妻の実母がタンスなどからお金を持ち出しているのが判明。トータルで20万円ぐらい持ち出されています。このような場合、親族は訴えられないと聞いたことがありますが、本当に無理なのでしょうか。

【回答】
 義母に対し、盗ったお金を返せと民事的に訴えることができるのは当然ですが、犯罪としても処罰を求められると思います。子供の夫婦といっても、もちろん他人です。他人のお金を無断でタンスや貯金箱から取ることはできません。立派な窃盗です。

 しかし、刑法第244条は、親族間の窃盗(「親族相盗」といいます)に適用される特別な規定をおいています。まず配偶者、直系血族又は同居の親族間の窃盗は、刑が免除されます。つまり、盗まれた被害者と窃盗犯人との関係がこれらのいずれかに当たれば処罰されません。

 直系血族とは、養子関係も含め、親子のことですから、単なる義母は、あなたの一親等の姻族で親族に当たりますが、直系血族ではありません。同居していないので刑は免除されません。窃盗として処罰されます。

 とはいえ、仮に盗ったのが奥さんの貯めたへそくりの場合、問題があります。義母が、最初から窃盗目的で入って盗んだのであれば、あなたも共同して占有する家から盗んだことになり、刑は免除されません。

 しかしながら、何かの正当な用事であなたの家に出入りしたついでに盗んだのであれば、へそくりを直接管理している奥さんが被害者になり、刑の免除の対象になるのではないかという問題です。最高裁は、親族相盗の適用にあたって、占有者と窃盗犯人との関係を問題にしているので、犯行の態様によっては刑の免除があるかもしれません。

 次に、前述の刑法第244条は、刑の免除に当たらない場合であっても、親族相盗を処罰するには告訴が必要としています。したがって、あなたが義母の処罰を求めるのであれば、単に警察に被害届を出すだけでは足りません。警察署か検察庁に告訴という手続きを取る必要があります。

※週刊ポスト2013年9月13日号

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