中国で追放外国人記者は 牢獄送り、出国、スパイになる選択

NEWSポストセブン / 2013年11月27日 7時0分

 中国では国内に限らず、海外メディアに対しても報道規制が強まっている。中国事情に詳しいジャーナリストの相馬勝氏が解説する。

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 最近話題になっているのが中国当局の米経済専門通信社ブルームバーグへの“圧力”だ。同社は昨年6月下旬、習近平・国家主席のファミリーが分かっているだけで、総額で30億ドル(約300億円)もの資産を形成したと報じた。この報道はスクープで、香港のほか、全世界のメディアが引用して伝えた。

 ところが、これが当局の逆鱗に触れたのか、昨年11月の中国共産党の第18回党大会など重要な会議の記者会見への出席を拒否されたり、特派員の取材ビザが下りないなど、さまざまな規制を受けている。

 さらに、同社は世界の経済情報を中国企業向けに配信しているが、解約する企業が相次いで、ビジネス環境が悪化しており、約100人の記者をリストラするなどの非常措置をとらざるを得ない状況に追い込まれている。

 最近では香港支局の記者が1年間かけて取材した中国高官関連のスクープ記事が同社の編集幹部によって握りつぶされ、配信できないという“自己規制”騒ぎも伝えられている。この記事は党・政府高官の子弟が大手投資会社に就職し、大手国有企業の株式上場の情報を漏らしたことで、外資が巨利を得るという内幕モノのスクープだったが、「これが出たら、我々は中国から追放されかねない」として、「ボツ」にしたというもの。

 しかも、この記事を書いた記者は停職処分になり辞職に追い込まれたとの情報も出ている。

 中国当局が海外メディアに対して、嫌がらせで、記者の駐在ビザを出さないというのはよくある話で、最近ではブルームバーグだけでなく、温家宝・前首相のファミリーが27億ドルの不正蓄財をしていたことをスクープした米ニューヨーク・タイムズ紙も交代の記者のビザが下りず、やはり米ワシントン・ポストも同様だと伝えられる。日本の大手新聞社のなかにも、誤報騒ぎで、特派員の駐在ビザが下りないなどのいやがらせを受けているところもあるようだ。

 とはいえ、中国メディアの場合は海外メディアとは比較できないほど、激しい言論抑圧を受けている。逮捕されたり、不当な勾留を受けたりで、場合によっては命に関わるほどだ。香港メディアも同様で、これまで何人もの記者が国家機密詐取罪などで逮捕され、数年間の懲役刑を受けている。

 特に、民主化運動の取材や国内の反体制派と接触すると拘束されるケースが多い。これは外国人でも例外ではなく、懲役刑にならなくても国外退去は最低限覚悟しなければならない。

 ところで、実際に追放処分にあった記者が匿名を条件に話してくれたことだが、ある記事に関して、情報源を明かすように求められた際、拒否すると、中国側の係官は「分かりました。あなたがとるべき選択肢は3つしかありません。このまま牢獄に行くか。二つ目は3日以内に中国を出る。三つ目は我々のスパイになることです」と迫ったという。

 もちろん、彼は中国を出ることを選んだのだが、スパイになって、彼らが満足するような情報を流せば、中国側からスクープを“提供”されることもあり、すっかり当局のスパイになりきった記者もいるという。

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