森永卓郎氏 格差拡大で「年収100万円時代」の到来を予想

NEWSポストセブン / 2014年1月1日 7時0分

 かつて著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』がベストセラーとなった経済アナリスト・森永卓郎氏は、今後、日本社会の格差がさらに拡大し、「年収100万円時代」が到来すると予想している。これから日本経済に何が起こるのか、森永氏が解説する。

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 財務省が発表した2013年4~6月期の法人企業統計を見ると、大企業の経常利益は前年同期比で約50%増となっています。一方、中小企業の経常利益は同13%減と、大企業と中小企業では大きな業績格差が出てしまっています。

 その中で、厚生労働省が発表した毎月勤労統計によれば、9月の現金給与総額は前年同月比0.1%増。事業所規模30人以上の製造業で見ても、同0.9%増と微々たる増加でしかありません。つまり、前年より経常利益1.5倍とボロ儲けしている大企業でも、賃金はほとんど増えていないと捉えられる。中小企業はいわずもがなでしょう。

 何が起こっているかというと、金融緩和などでお金は市中に溢れたが、それが労働者には回っていない。その一方で、資本家、企業の内部留保が劇的に増えているということです。

 それなのに、さらに安倍晋三総理は復興特別法人税の1年前倒し廃止を行なおうとしているのです。安倍総理は、それを断行すれば企業の利益がさらに増えて、賃金の引き上げにつながると説明しています。だが、経常利益が1.5倍に増えても大企業は賃金を上げていないのですから、そんなことが実際に起こるはずはないのです。

 現役世代の収入が増えないだけではありません。年金生活者の年金支給額も、確実に減っていきます。年金支給額は物価変動に応じて決定されますが、1999年から2001年の間に物価が下がったにもかかわらず特例的に据え置いた影響で、これまで本来より2.5%高い水準になっていました。その是正のため、すでに2013年10月から1%減額され、さらに2014年4月から1%、2015年4月から0.5%減額されることになっています。

 それだけでも格差拡大が必至の情勢なのに、非正規社員の比率拡大がそれに拍車をかけそうです。非正規社員の比率はすでに38%超となっています。だが、安倍政権が正社員の首切りをしやすくするなどの規制緩和を画策しているため、この比率は今後も上がっていき、近い将来には非正規社員が5割を超える時代が到来しそうです。

 非正規社員の年収は100万円程度ですから、その人たちが労働者の主流になれば、まさに「年収100万円時代」の到来といえます。その流れの中で、米国や英国、中国がすでにそうなっているように、日本も中流層が崩壊し、富裕層と貧困層に二極化する厳しい超格差社会になると思われるのです。

※マネーポスト2014年新春号

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