野球少年の野球肩や野球肘を解消 「メンコ風」運動療法紹介

NEWSポストセブン / 2013年12月30日 16時0分

「野球肩」や「野球肘」、「テニス肘」などスポーツによる痛みを訴える人は多い。野球少年の場合は、肩関節の成長軟骨が骨折する「リトルリーガーズショルダー」であることが多く、親は注意したほうがよい。成長軟骨は弱いので、無理な力がかかると骨折し、激痛を生じる。大人の場合は、肩の周囲の腱板という筋肉の障害や関節の炎症などで痛みが起こる。軽症では対症療法で痛みや炎症を取り、経過をみることが多い。

 難治性の肩・肘の痛みに対しては、関節鏡などによる手術を実施することもある。投球障害は繰り返し行なう投球動作に原因があり、間違った投げ方と投げ過ぎに問題があったと考えられる。帝京平成大学健康メディカル学部教授で、帝京大学医学部附属病院整形外科スポーツ診の渡會(わたらい)公治医師に聞いた。

「私は整形外科医として、野球肩や野球肘などを診療してきました。ある時、痛みがあってもボールを真下に投げるときは痛みを生じないことを発見しました。これがきっかけとなり、肩・肘の痛みの保存治療として、投げ方の指導という運動療法を開発したのです」

 運動療法の基本は、フォームチェックと、正しい身体の使い方の指導だ。例えば、リトルリーガーズショルダーになる少年は投げる際に身体全体を回転させられず、腕を回旋するために肩と肘に負担がかかる。この「手投げ」といわれる投げ方では、肩だけでなく肘の内側も外側も傷む。テニス肘も同じで、肘の構造に合わない使い方をしているので、負担がかかり、炎症や痛みが起こる。

 治療にあたり、渡會教授が教えるのがメンコだ。メンコを地面に思いっきり打ちつける動作は、身体を回旋し、肩甲骨と腕の動きにタイミングを合わせて肘を曲げ伸ばしする。この基本動作を左右両方で行なう。痛みが治まったところで、布のボールを使って投球フォームの改善に取りかかる。肩や腕のインナーマッスルが落ちているので、その筋肉も同時に鍛える。

 この時に肩体幹装具をつけて運動療法を行なう。両手を頭において、両肩・両肘が水平になる(ゼロポジション)ように立つ。左足を肩の向いている方向に出し、左足に全体重を掛けて身体を傾け、左手を左足の前に伸ばす。右手でボールを床・地面に向かって真上に弾むように真下に投げる。投げる時に背中全体を回すようにして、腕は肘から先を伸ばす。数回行ない、反対側も同じようにする。

「肩体幹装具は、左足の股関節に装具の端を結び、背中を通して肩に巻いて使用します。これを付けると腕の回旋が制限されるので、ボールを投げようとすると、身体全体を回すことになります。ボールを真下に思いっきり投げるには、身体を回し、肩甲骨から水平に腕を伸ばすことで大きな力が出せます。このフォームを身に付ければ、肩や肘の痛みは解消します」(渡會教授)

 痛みは身体からの警告だ。たとえ草野球でも、痛みが出たら、間違った筋肉の使い方をしていると自覚し、フォーム改造を行なうことが大切だ。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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