元アップル日本法人代表が語るS・ジョブズから学んだこと

NEWSポストセブン / 2014年1月14日 7時0分

 社内のカフェテリアにランチに行ったときにも、ぼくはせっかくの機会だから「ハイ、スティーブ!」って声をかけるんだけど、他の人は誰も声をかけないんですよ。ぼくが話しかけると、同僚が慌ててやって来て「ヨシ、話しかけちゃダメ、リスキーだから」って。スティーブの機嫌損ねると即クビになるから話しかけないほうがいいよって言われましたね。

――ジョブズ氏から学んだことは?

前刀:スティーブを数人で囲むエグゼクティブ・ミーティングに参加させてもらっていた環境は、本当に恵まれていましたね。「このミーティングで本社以外の人間で出るのは世界でお前が初めてだ」って言われましたから。さらに人数を絞って、広告やCM、商品のパッケージを決めるミーティングにも、出させてもらっていたんです。

 彼はパッケージなど細かいところまで自らチェックして指示出しするんです。ぼくも同じことをライブドアの時にもやっていたので、似てると思いましたね。彼の価値観、いわゆる感性訴求にも共感しました。彼はアップルを再生するときに、「アップルは、ディズニーやソニーやナイキのように世界中の人から愛されてリスペクトされるブランドになる」と言ったんです。そのうちの2社をぼくは経験しているので共感の度合いも高かったです。

――前刀さんは、感性をとても大事にされていますね。

前刀:理屈だけで攻めていくと、みんなが同じところに行き着く。数学の問題に解答があるように、ロジカルに物をつきつめて考えていくと、似通った答えが出てくるので差別化ができない。自分らしさが出ないんです。ところが、感性で物事を感じたり、考えていくと個性が出てくる。それが、世の中から求められ、かつ自分だけの強みである“スイートスポット”にも繋がるんです。

 五感それぞれで感じたものを集約していくことを大切にしたほうがいいですよ。感覚的に判断したことが後々正解だったと思った瞬間ってあるでしょう? そういう経験をすることが大事です。そうすると自分を信じられるようになる。そこを疑っておっかなびっくりしていると、自分が感じたことが正しくないという思考回路になる。するとどんどん鈍くなる。拠り所がないので、みんなが何を言ってるかに向いてしまうんです。

――ご自身の職を生涯にわたって新しい事業を生みだしていく“ビジネスディベロップメント”とおっしゃっていますね。

前刀:これまで取り組んできた仕事は、前例がないから大変だけど、だからこそ楽しい。前例って言葉を人はよく使うけど、前例と誰かが信じて疑わないことを初めてやった人がいて、その時には前例はなかったですよね。しかも、その人がリスクをとってそれをやっていなければ、皆さんが働く会社もないんです。

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