中国紙が張成沢大型犬残虐処刑報じた背景に中国政府の不快感

NEWSポストセブン / 2014年1月12日 7時0分

 北朝鮮の張成沢・元国防委員会副委員長の処刑方法は「三日三晩エサを与えていないどう猛な大型犬120匹による襲撃だった」と香港の中国系紙「文匯報」(電子版)が伝えたことが大きな反響を呼んでいる。事実とすればあまりにも残酷で、米紙「ニューヨーク・タイムズ」など有力メディアはいずれも否定的な見解を明らかにしている。

 しかし、文匯報といえば、中国政府と極めて近いメディアで、その信頼度も高く、中国共産党政権が処刑の残忍さを強調して、北朝鮮の最高指導者、金正恩第一書記のイメージダウンを狙った意図的なリークとの見方が浮上している。

 同紙は昨年12月14日、張氏の処刑について「朝鮮『犬決』張成沢」などとの見出しを付け、政治犯による情報として、張氏ら5人が真っ裸で鉄のオリに入れられ、三日三晩エサを与えられなかった120匹ものどう猛な猟犬が放たれて、かみ殺されたと伝えた。この凄惨な処刑を金正恩第1書記、李雪主夫人のほか300人を超える高官が見物していたという。

 張氏の処刑については韓国紙「朝鮮日報」など韓国メディアは消息筋の話として「機関銃の銃弾が90発以上撃ち込まれた」「遺体は火炎放射器で焼かれた」と報じている。

 いずれも残酷な方法が用いられたことが共通しているが、海外メディアはとりわけ文匯報の報道に疑義をはさんでいる。

 米紙「ワシントン・ポスト」は北京発で、北京を訪問した平壌駐在の西側諸国の外交官の話として、文匯報が「北朝鮮で何が起こったかを分かるはずはない」との極めて否定的なコメントを伝えている。時事週刊誌「タイム」や中国情報に詳しい香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」、シンガポールの英字紙「ストレート・タイムズ」などの有力紙誌はいずれも「あり得ない」との見解を明らかにしている。

 しかし、文匯報といえば、同じく香港紙「大公報」と並んで、香港を代表する親中国系紙であり、中国本土でも購読が許可されているほど、中国政府との密接な関係も持っているとされている。仮に、処刑報道が誤報だとすれば、何らかの意図が隠されていると考える方が妥当だろう。

 ある北京在住の中国紙記者は「中国指導部と金正恩第一書記の関係は極めて緊張している。習近平政権は中国の言うことをきかない反抗的な金政権に辟易しており、敢えてこのような残酷な処刑方法を文匯報に書かせることで、金第一書記に中国が張氏の処刑について不快感を抱いていることを気づかせようとしているのではないか」と指摘している。

NEWSポストセブン

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