児童ポルノ禁止法改正案、共謀罪成立は官僚主導加速の懸念も

NEWSポストセブン / 2014年2月1日 7時0分

 2年目に入った安倍政権。これから、注目するのは「脱官僚」である。一見、民主党時代より実務能力が高く見える安倍政権だが、そのタネを明かせば、官僚に頭を垂れ、彼らの利益を守ることと引き換えに内閣の運営を霞が関に丸投げする自民党の旧弊が完全復活したからだ。

 昨年、本誌は特定秘密保護法に反対したが、主張の根拠は左派が言う「軍国主義復活」などではなく、これも官僚主導国家につながるとの懸念だった。

 今年の通常国会に提出される見込みの児童ポルノ禁止法改正案にも同じような懸念がある。これに反対すると、また「出版社のエゴ」「そんなにポルノを売りたいのか」と反撃されそうだが、そうした声は官僚の思う壺だ。

 もともと同法では児童ポルノの定義の一つが「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」と、いかようにも解釈できるように定められており、官僚や捜査当局の恣意的な判断で規制、検挙できる余地があった。

 今回の改正では罰則の対象に「所持」が加わり、さらには被害児童のいないマンガやアニメまで対象にするよう検討することが盛り込まれている。悪意の権力者がいれば、例えばいわゆる「パンチラ」シーンのある少年マンガが一冊でも家にあるだけで、誰でも逮捕したり家宅捜索したりできるようになりかねない。

 多くのケースでは本来の目的(児童保護)に用いられるであろう法律であっても、悪用の余地がある限りは問題を指摘し続けるのが国民とジャーナリズムの責任だろう。

 安倍政権が「来年度の課題」としている共謀罪にも同様の懸念がある。「犯罪の謀議」の定義をよほど厳密にしておかないと、官僚にまた取り締まりの口実を与えるだけである。だからこれらの法案は、左派的な国家権力敵視とは関係なく、官僚主導政治を善しとするかどうかの国民的判断が問われる問題なのである。本誌もそうした視点で官僚の策動を監視している。

 ある経産省キャリア官僚は本誌にこう語った。「今の自民党は図体だけデカイが以前よりずっと扱いやすい。法律や霞が関に通じた面倒な古狸はいなくなり、テレビ受けと選挙区のことしか考えないサラリーマン議員ばかりだ。事務方の“ご進講”に疑問を呈したり、まして論戦を挑んだりするセンセイは誰もいない」──。

 今年はアベノミクスの仮面が剥がれる年になる可能性が高い。強引な円安誘導は輸出企業を潤した一方で、小麦、大豆、肉類からエネルギー、衣服、歯ブラシに至るまで生活必需品の大半を輸入に頼る国民にとって円安は家計圧迫要因でしかない。日本の貿易収支はすでに赤字なので、国全体で見ても円安は損なのだ。

 しかも昇給もなく、消費税が上がる。駆け込み需要はすでにピークを過ぎており、景気の減速は避けられないだろう。それも霞が関の言うがままに進めた政権運営のツケだ。安倍晋三・首相が真に国の繁栄を願うなら、今年こそ官僚主導と本気で訣別しなければならない。

※SAPIO2014年2月号

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