飲みニケーション否定派が抱く「同調圧力への怒り」の鎮め方

NEWSポストセブン / 2014年1月26日 16時0分

 肯定派で「飲みニケーション」を押しつけるようなことを言っている人は滅多にいない。そのかわりに、少しでも目の前の部下との関係が滑らかになるなら、ぜひとも「飲みニケーション」を活用したい、という意気込みのようなものを大勢が発している。それだけ職場の仲間同士が一体感を持って働くことが難しくなっているのだなと思わされる。その根幹に、家族主義的な経営をキープするだけの体力が会社になくなったことがあるのは言うまでもない。

 否定派の声には、日本の職場がそこで働く人々に求めてきた、過剰な同調圧力に対する怒りの感情が含まれている。「参加は自由だとしても、同僚のみんなが参加するなら自分だけ断るわけにはいかない。それが日本の職場の平均像だ」という旨を匿名ブログで綴っている会社員がいた。いつまで経っても減る気配のないサービス残業と地続きの構造を「飲みニケーション」にも連想してしまうのだ。これもまたリアルな話である。

 ただし、世の中は少しずついい方向に変わってきている部分もある。「飲み会補助」「食事会補助」「懇親会制度」など名称はさまざまだが、「飲みニケーション」の促進のために、1回1人あたり2千円~5千円の助成制度を設けている会社がけっこう出てきているのだ。否定派でその動きに嫌悪する人もいるのだが、実際の会社がどのように制度を運営しているか見てみると、けっこうよく考えているのである。

 例えば、ある会社は、他部署の社員同士で2~3名、こじんまり飲食をする場合のみ懇親会費用に補助金を出している。いつも職場で顔を合わせている人とではなく、同じ会社に属しながら接点の薄い人と打ちとける場を設けることで、いい刺激になるのではと発案された制度だそうだ。かなり人気の企画とのことだが、この方法なら同調圧力の弊害が出にくいだろうし、自分の会社をより複眼的に見る機会になる。

 他には、役職が大きく離れた社員同士や開発プロジェクトの違う社員同士が集まるなど、いろいろなパターンの懇親会を全額会社負担で頻繁に開いているという会社もある。業績の悪化で社内の雰囲気が重くなった頃に導入したそうだが、そこから約5年で離職率が大幅に減ったという。「飲みニケーション」だけの効果ではなく、全社をあげて社内の風通しをよくしようという姿勢が奏功したということだろうが、その象徴としての懇親会の意味は大きかったに違いない。

 こうした助成制度をこまめに導入している企業に規模の差はない。大手もベンチャーもやっているところはやっている。業種としては、いわゆるIT系企業などパソコンに向かう時間の長い業界での導入例が多い。

 ちょっと検索しただけでも10社以上のケースが簡単に拾える。面白いことに、私が見た限りでは、どこも「飲みニケーション」という言葉は使っていなかった。「飲む」と「コミュニケーション」を合体するだけでは、たいした効果も出ない。自分たちの必要に応じてアレンジしないとね、というのがポイントなのだろう。

 そういう意味では、「飲みニケーション」の是非を議論している時間とエネルギーがあるなら、具体的に活用法を考えて作っていったほうがよさそうだ。別に、酒を飲まない食事会でコミュニケーションを図ってもいいし、甘味好きが多い職場なら「スイーツの会」を結成したって構わない。少し前に流行った「ダイバーシティ」の発想で多様性を担保しつつ、仕事仲間同士が仕事を離れて言いたいことが言い合える場を増やせばいいという話なのだ。

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