好調なテレ東 試行錯誤の末「素人いじり」の金脈掘り当てた

NEWSポストセブン / 2014年2月15日 7時0分

 テレビ東京が絶好調だ。視聴率ではフジやTBSを抜いて民放4位(平日午後7~11時のプライムタイム)に位置することは珍しくない。経営面でも、昨年4~9月期の経常利益の伸び率は91.5%増をマーク。昨年の年間視聴率で初の2冠を獲得したテレビ朝日を抑えて、民放トップの伸び率だ。

 テレ東がここまで好調な背景には何があるのか。他局と比べて会社の規模が小さく、圧倒的な資金不足に悩む中、古くから「選択と集中」を進めたことが躍進の一因だろう。

 通常、ゴールデンやプライムタイムの番組1本に在京キー局が使う制作費は1500万~2000万円とされる。しかし、テレ東の番組制作費は他局水準の半額以下となるわずか900万円弱。深夜帯だと150万円の番組もあるという。

「ゴールデンで1000万円以下なんて他局では考えられません。テレ東は企画募集の要項に予算のグラフがキッチリと記されています。『番組は予算内で作るもの』という意識がスタッフに染み付いているんです」(テレビ業界に詳しい放送作家)

『テレビ番外地 東京12チャンネルの奇跡』(新潮新書)の著者で、40代半ばという若さでテレ東の編成局長を務めた石光勝氏が振り返る。

「私が現場にいた1960年代後半から1980年代もやはり予算が少なく、他局のようなプロ野球中継、ドラマ、歌番組はテレ東ではできなかった。有名タレントもギャラが高くて使えない。

 そこで、新しいことにチャレンジしました。たとえば、男子プロレスは他局が独占していたので当時はマイナーだった女子プロレスを取り上げた。視聴率はよかったけど、『低俗だ』『エログロ』とクレームが殺到して、途中でやめさせられました(苦笑)。とにかく、お金がないだけいろいろと知恵を絞りましたね」

 そんな試行錯誤の末、テレ東が掘り当てた金脈が「素人いじり」だった。

「他局がよくやるひな壇に有名タレントをずらっと並べる番組はテレ東では予算的に完全NGです。

 となると、出演者は素人や一般人になります。もちろん素人なのでカメラの前で面白い話をできるわけでもないし、芸人のようなリアクションは取れない。必然的に企画で勝負せざるを得なくなるんです」(前出・放送作家)

 確かにテレ東の番組には多くの一般人が登場する。古くからの看板番組である『TVチャンピオン』『開運! 何でも鑑定団』はいずれも素人参加番組。

『モヤモヤさまぁ~ず2』の他、海外の意外な地域で活躍する日本人にスポットを当てる『世界ナゼそこに? 日本人』(月曜21時~)や有名人が田舎の家庭をアポなし訪問する『田舎に泊まろう!』なども素人の魅力をいかに引き出すかが番組の生命線である。

 その好例が『YOUは何しに日本へ?』(月曜18時30分~)だ。

 来日する外国人をスタッフが成田空港で勝手に出迎え、その場で交渉して日本観光に密着するゆる~い番組。だが、出演者が外国人でしかも素人という2重のハードルを逆手に取って武器に変え、彼らの目を通して新鮮な日本を感じることができる。

「日本に来たばかりの外国人についていって、様々な観光地を訪れるだけ。リスクが高く他局では絶対に通らない企画です(苦笑)。

 でも、番組が普段見慣れているはずの日本の多彩な面を見せていくことで、視聴者の興味が自ずと広がっていく。ディレクターやスタッフは裏で相当苦労してると思いますよ。有名タレントに頼る番組制作と違って、展開が読めないですからね」(前出・放送作家)

※週刊ポスト2014年2月21日号

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