復興策に大前氏苦言「民主党の腰砕け対応が前に進めぬ原因」

NEWSポストセブン / 2014年3月5日 16時0分

 東日本大震災から3年が経過しようとしている。ところが東北の現状を見れば、瓦礫が片付いただけで本当の意味での「復興」はほとんど進んでいないに等しい。大前研一氏は「グランドデザインが描けるリーダーがいないことが大きな問題だ」と指摘する。

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 3年経って何が起きたか。復興に向けて動くどころか、ビジョンすら描かれていない。福島、宮城、岩手3県は政府に陳情しているだけである。その結果、ビジョンもないのに予算だけは膨大にあるという恐ろしい状況になり、市町村ごとにバラバラの復興策を進め始めている。

 だから3年前に私が危惧した通り、今や住民の意見は「元の場所に戻りたい」「新しい土地に引っ越したい」「(避難先の)今の場所で暮らしたい」が3分の1ずつになり、収拾がつかなくなってしまった。

 すでに元の場所に戻って家を建てた人もポツポツといるし、大都市に出たり親戚を頼ったりして郷里を捨てた人も少なくない。このままでは東北地方に再び「津波に弱い町」ができてしまう。

 世界の常識では、過去に何度も天災に見舞われている“居住不適合”な土地に住むのは自己責任である。たとえばアメリカやオーストラリアなどのフラッド・プレイン(Flood Plain/洪水時に水没する「氾濫原」)は、洪水時に水没するという土地の情報が開示されており、あえてそこに住む場合は「Your Own Risk」で、万一、洪水の被害に遭っても公的な補償や支援は受けられない(その分、土地の価格は安い)。

 同様に、東北地方で繰り返し津波に襲われている地域は津波プレイン(前述「フラッド・プレインに倣った大前氏の造語」)に指定し、「土地を放棄して公的な用途に使える形で提供すれば、安全な代替地を無償で提供する」と提案すべきなのである。

 3.11の直後にリーダーがそういう決断を下していればみんな納得したはずだが、当時の民主党政権に責任を引き受ける度量がなく、「みんなの意見を聞く」などと腰の引けた対応をしたから前に進めなくなった。

 自民党政権になって変わるかと期待したら、驚くべきことにもっとひどくなった。莫大な復興予算を付けてその利権に議員たちが群がり、湯水のごとくカネを使って意味のない巨大な防潮堤を建設している。

 何度も苦難から立ち直ってきた過去の日本と違うのは、政治面でも行政面でも(さらに言えば民間にも)「強いリーダーがいない」ということである。それが一向に東北復興や津波に強い町づくりが進まない原因だ。

※SAPIO2014年3月号

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