消費増税前の駆け込み需要「クラスプレミアム」がキーワード

NEWSポストセブン / 2014年2月18日 16時0分

 景況感の回復による“アベノミクス消費”は、消費税増を目前に控えた駆け込み需要も手伝って、より高額品に向かいつつあるようだ。

 高級マンションや宝石、時計、クルマなどが売れていると聞いても実感の湧かない人も多いだろうが、「良質でラグジュアリーなものにはお金を惜しまない」という消費者層は確実に増えている。

 人生でもっとも高い買い物である住宅は、増税後の負担増も大きいだけに駆け込み消費は顕著だ。2013年の首都圏マンション市場動向(不動産経済研究所調べ)によると、首都圏で供給された新築の分譲マンションは6年ぶりに5万戸を上回り、中でも1億円を超える“億ション”は前年比で倍増(1504戸)した。

 大手不動社業者の販売担当者は、「近年は物件の広さよりも、いかに省エネ設備が揃っているか、耐震性がどれだけ優れているかといった機能重視で分譲価格を比べる人が多い」と話す。

 また、『ロレックス』をはじめとする高級時計や、宝飾品の百貨店売り上げも2013年は対前年比15.5%増(日本百貨店協会データ)と好調だ。

 時計ジャーナリストで桐蔭横浜大学教授の並木浩一氏に聞いてみると、やはり100万円以上する“ゴールドが標準”の超高級ブランドの腕時計が売れているという。

「最高峰ブランドと呼ばれる『パテック フィリップ』などはその代表です。ただ、高級腕時計は単なる贅沢品だけではなく、毎日使うこともできる<生活の中の高級品>です。消費者もいい物を見極める眼を持っていて、それを買うことで生活が豊かになるという、貯金を叩くのに足る理由があるわけです」(並木氏)

 今年に入ってから新車販売が17年ぶりの高水準を維持しているクルマはどうか。トヨタ自動車の高級車ブランド『レクサス』の2013年販売は前年比7.1%増の4万6773台。『メルセデス』や『BMW』など競合する高級外車も多い中、国内メーカーの最高品質に対する消費者の信頼度は高い。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が語る。

「レクサスは<LS、GS、IS>といった大型の主力車種だけでなく、コンパクトサイズの<CT>などライフスタイルに合わせてダウンサイジング化させたシリーズも発売してユーザー層を広げています。たとえ小さくても品質を落とさずに“クラスプレミアム”を追求していることが好調の理由でしょう」

 こうして最近の消費傾向を見ていくと、とにかく値の張るブランド品なら何でも買いあさっていたバブル時代とは異なる消費者心理があることに気付く。すなわち、“新たな価値観”のモノサシである。ニッセイ基礎研究所准主任研究員の久我尚子さんが話す。

「安いから品質が悪い、高いから良いという単純なモノサシで見る時代ではありません。消費社会の成熟化により、今の消費者はファストファッションやファストフードなど安くても品質の良いものが存在していることを知っていますし、比較サイトやネット通販が充実しているので、高品質なものを安く手に入れる手段も豊富にあります。

 いまの消費者は、安いものは品質や機能性の高さといったプラスアルファの価値、高いものは満足感や嬉しさ、楽しさなどの精神的に得られる価値などと金額のバランスをしっかり吟味しています。よって、何らかの付加価値がないとブランド品でも買わない世の中といえるのです」

「違いの分かる」賢い消費者が高額品を品定めしている――。となれば、消費増税後や景気動向に左右されず、真の高級ブランドは今後とも生き残っていくだろう。

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