店舗数減少の「東京チカラめし」 再編背景を運営会社が解説

NEWSポストセブン / 2014年3月2日 7時0分

 吉野家の「牛すき鍋膳」、なか卯の「牛すき丼」、すき家の「牛すき鍋定食」──。いま牛丼業界では、メニューに「牛丼依存」から脱しようとする動きが目立つ。さらにここにきて、瞬く間に勢力を広げて牛丼業界に衝撃を与えていた『東京チカラめし』に、急ブレーキがかかっていることも、“牛丼依存見直し”の遠因になったとされている。

『東京チカラめし』は、個室式居酒屋の『東方見聞録』や、低価格居酒屋『金の蔵Jr.』を展開する居酒屋チェーン「三光マーケティングフーズ」が、2011年6月から手掛けている業態だ。

 牛丼業界の久々の新星は、わずか2年で140店舗に急成長。同社の平林実社長は、2014年中に500店出店をブチ上げていた。

 成長の原因はメイン商品を肉を“煮込む”牛丼から、“焼く”「焼き牛丼」に変えたこと。若者を中心に支持を得たため、各社もこの“焼き肉丼”方式に追随した。『吉野家』では昨年7月に「牛カルビ丼」を発売。『松屋』は「カルビ焼牛めし」、「ネギ塩豚カルビ丼」などをメニューに並べた。

 ところが今月、「三光」は第2四半期累計(2013年7~12月)が30.9億円の赤字に転落し、通期の損益を0.2億円の黒字から44億円の赤字に下方修正することを発表した。

 実際、全国では『東京チカラめし』の店舗の閉鎖が相次いでおり、昨年8月の時点で140店舗あったものが、年末には98店舗に激減していた。

 外食業界に詳しいジャーナリストの中村芳平氏は、「『焼き牛丼』のオペレーション面の問題を解消できないまま、急成長してしまったのが原因」と分析する。

「毎回焼くというスタイルは、狙いとしては大変面白いものでした。しかしこれは同時に、これまで肉を盛るだけだったオペレーションに“焼く”という作業が増え、客への提供の遅延を招く。牛丼は早くて当たり前と思っている客の不満に繋がり、客足を遠ざける危険性があった」

 相次ぐ店舗の閉鎖について、「三光」はこう回答している。

「主要食材である米国産牛肉の調達価格が依然高騰のまま推移しており、収益悪化を招きました。

 また店舗の急速拡大により、店舗QSC(クオリティ、サービス、クリンリネス=清潔さ)レベルが不安定となり、来店客が減少してしまいました。そこで店舗配置の見直しを図り、再編を行なうこととしました」(社長室広報グループ・大貫実マネージャー)

 前出の中村氏が続ける。

「『東京チカラめし』の『焼き牛丼』は、メニュー複雑化の象徴でした。これは他チェーンも同様ですが、低価格競争だけでは客が呼べなくなったため、メニューを多様化したことで作業が増えた。それでも、早さと安さを維持しなければならないという、難題に悩まされていたのです」

※週刊ポスト2014年3月7日号

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