グリコの新規事業を生む“世界に一つだけ”を開発する研究所

NEWSポストセブン / 2014年2月27日 16時0分

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右から、江崎グリコ健康科学研究所の所長・栗木隆さんと研究員・釜阪寛さん

 ものごころつく前から食べていた『ビスコ』、おまけも楽しみだったキャラメルの『グリコ』のほか、『パピコ』『ポッキー』『プリッツ』など懐かしいだけでなく、今なお愛され続けるロングセラーの数々。こうした商品を製造・販売している江崎グリコが作っているのは、馴染み深いお菓子だけではない。社名の由来でもあるグリコーゲン(糖原)を中心とした、糖質工学を軸に新素材を開発するなど、おいしさに加え“健康”を真面目に考え・追求した中で生まれた、さまざまな製品を形にしている。その基礎を支える、江崎グリコ健康科学研究所を取材した。

「昨今は企業が生き残りのために業界再編を行ない、近しい業態の企業が合併してより大きな競争力をつける――というトレンド。そうした流れの中でも“グリコは、グリコでありたい!”としたら、市場で唯一の存在になる必要があります。

 そこでこの研究所では、まず企業メッセージである『おいしさと健康』の観点から、健康を科学する側面。もうひとつは、市場で唯一の存在になるための新素材の開発――既存のビジネスの中で、新しい開発の種を新素材や新技術で提供すること。さらには新規事業への進出として、高収益事業へ繋がる新素材を開発することです」と語るのは、同社の取締役でもある、健康科学研究所の所長・栗木隆さん。

 こうした姿勢から多くの研究が行なわれ、栄養ドリンクやサプリメント、スキンケア商品といった新商品開発だけでなく、BtoB向けの新素材なども数多く生まれている。その中で今回は、“身近な商品”のガム『POs-Ca(ポスカ)』を軸にレクチャーを依頼。

 栗木所長と共に説明してくれたのは、マネージャーで研究員の釜阪寛さん。
「歯の外側はエナメル質というカルシウムやリン酸から構成された、ハイドロキシアパタイトという結晶からできていて、この結晶が規則正しく並んでいることで、歯は強く硬い組織を持てるのです。しかし食べたり飲んだりすると、食品の酸によってリン酸やカルシウムが溶け出してしまいます。

 このエナメル質からカルシウムが溶け出すことを脱灰(だっかい)と言い、それが進むと初期虫歯の『うしょく』になります。ただ脱灰の状態なら、溶け出したリン酸やカルシウムを補い、再石灰化することで、健康な歯に戻すことができるんです」

 カルシウムが必要なら、乳製品や小魚などを摂取すればいいのだろうか?

「歯茎には血管がありますが、歯には血管がないので、栄養分として体の内側からカルシウムを届けることはできないんですよ。微量ですが、だ液にカルシウムが含まれていて、再石灰化できるのは、だ液に溶けているカルシウムだけです。でもカルシウムというのは水に溶けにくい性質で、一般的なカルシウム剤は普通はだ液に溶けません」(釜阪さん)

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