大前研一氏 原発5km圏内は「永久に住めない」と宣言せよ

NEWSポストセブン / 2014年3月11日 7時0分

 東日本大震災の被災地・東北3県の中でも福島の復興は特に遅れている。福島第一原子力発電所の事故で立ち入りが制限され、津波に襲われた時のまま3年間、時間が止まってしまったような地域も多い。震災直後から数々の被災地復興プランを提言してきた大前研一氏が、あらためて福島の復興策を提示する。

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 これまでにも本誌で指摘してきたことだが、まず政府も国民も放射線に対する正しい認識を持つ必要がある。

 現在、除染は自然界から受ける量に追加して受ける放射線量として年間「1ミリシーベルト以下」にすることを目標に進められている。しかしこの数字は、はっきり言って非科学的だ。

 人類の放射線による被害は広島・長崎での原爆やチェルノブイリ、スリーマイル島などの原発事故がある。そのデータから言えることは、「100ミリシーベルトを超えると健康被害が出てくる」ということだ。
 
 逆に言えば、それより低線量でリスクを評価することは困難とされる。どんなに反対意見があろうとも、それが世界中で最も妥当と認められている科学的な知見である。これは別に政治的な便宜で決められたわけでもないし、もちろん「原子力村」の陰謀でも何でもない。

 誤解が生じやすいのは、それ以下の数字ならどうなのかという、いわゆる「閾値(いきち=境界)」の問題があるからだ。放射線は「受けなければ受けないほどいい」ものであることは私もそう思う。どんなに小さな被曝でも、それによってDNAが破損するリスクはゼロではないからだ。これが「とにかく1ミリシーベルト」という人たちの論拠になっている。

 しかし人間は、体に有害なものならば酒を飲むこともあるしタバコの煙を吸う時もあれば、PM2.5の汚染物質を吸い込んでいる。放射線にしてもレントゲンやCT検査を受けたりラジウム温泉に入ったりして日々受ける。そもそも自然界から受ける放射線は地域によって大きく異なり、例えば香港は東京の1.5倍ほど、高地にある南米コロンビアの首都・ボゴタ(標高約2600m)などでは日本の10倍近い年間約10ミリシーベルトの自然放射線を受けている。

 国立がん研究センター資料などによれば、「100~200ミリシーベルト」でがんのリスクは1.08倍になる一方、「野菜不足」で1.06倍、「高塩分」や「運動不足」で1.15倍前後とされている。そうした他のリスク要素がいくつもあるため、数十ミリシーベルトというレベルでは健康被害が出るかどうか検証できないのだ。

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