被災地宅地再建進まぬ理由 用地確保の難航とマンパワー不足

NEWSポストセブン / 2014年3月12日 7時0分

 東日本大震災で津波に襲われた街では、3年経った今も瓦礫を撤去しただけの更地が広がっている。先進国とは思えない光景がなぜ放置されているのか。

 いまだ避難者数は27万4088人(復興庁調べ。昨年12月)を数える。仮設住宅に住む被災者は10万2650人(内閣府調べ。昨年10月)。

 仮設住宅は学校の校庭に建てられたものが少なくない。一部の地域では学校側にスペースを返すため、仮設住宅に住んでいる避難者が転居した。また、民有地にある仮設住宅では、周辺の地価高騰にともない地権者が契約更新を拒むケースが出てきている。 だが、避難者の新居の目処はたっていない。

 復興庁の発表によれば、計画されている「災害公営住宅」2万1811戸のうち整備に着手した(用地確保が完了した)戸数は1万3231戸(61%)、完成した戸数はわずか509戸(2%)にすぎない(昨年11月末。以下同)。

 また、高台移転などの「防災集団移転促進事業」が予定されている335地区中、造成工事に着手したのは215地区(64%)、造成工事が完了したのは18地区(5%)。

 津波被害にあった土地で道路拡張や嵩上げなどを行なって現地再建する「土地区画整理事業」は、予定されている51地区中、造成工事に着手したのは33地区(65%)、造成工事完了はゼロだ。なぜ宅地再建が遅々として進まないのか。それには用地確保の難航とマンパワー不足の大きな2つの理由がある。

 東北のリアス式海岸は海のそばまで山が迫っており、防災集団移転促進事業を進めようにも住民がまとまって移転できる平地がそもそも少ない。

 土地があっても地権者の承諾が得られないことがままある。陸前高田市は高台移転を計画しているが思うように地権者の承諾が得られていない。

 また、測量して境界や正確な面積を確定する地籍調査事業が行なわれていない土地(2012年度、全国平均で実施率50%)の場合は地権者立ち会いのもと測量する必要がある。さらに未登記の土地が多かったり、明治以来、所有者が死亡しても登記の変更がなかったりというケースが少なくない。買収する際には相続関係者をすべて探す必要がある。

 これらの問題をクリアするには政治や行政の踏み込んだ対応が必要だが、そういう仕事に積極的に取り組むリーダーが現われない。

 土地の相続人が不明の場合、利害関係者からの申し立てにより、家庭裁判所の選任する弁護士などが相続財産管理人として財産を管理・処分にあたる。しかし、その相続財産管理人が足りない。

 安倍晋三首相は昨年10月、やっと特例措置を講じることを表明した。管理人の候補者約500人を確保し、裁判所の選任手続きを簡素化、従来半年かかるとされた期間を最短で3週間程度に短縮するとした。

 しかし、そもそも相続財産管理人は相続人が一切不明の場合に限られており、一部でも相続人が判明しているケースでは認められない。被災地の場合、後者が圧倒的に多い。日本商工会議所は2月10日に「一部の相続人の存在が判明している場合においても、相続財産管理人を活用して土地等の処分を可能とする特例措置」を講ずるよう要望した。

 行政側の人材不足も顕著だ。市や町には集団移転や区画整理のノウハウを持った職員が絶対的に不足している。石巻市などは地元河北新報(2月3日)の取材に対し、「人員不足により事業の加速化が困難」と認めている。

※SAPIO2014年4月号

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