入院中でも有名シェフの味 「医福食農」連携で病院食が進化

NEWSポストセブン / 2014年3月14日 16時0分

 医療施設を利用する患者に満足度を調査している厚生労働省の「受療行動調査」によると、「不満」の割合が最も高いのは「食事の内容」で13.8%、次いで「病室・浴室・トイレ」が10.3%となっている。同種の調査は全国各地の自治体、病院単位で行われ、とくに食事に特化したアンケートをとり患者さんの満足度向上につとめているところは多い。その結果、最近は病院の食事であっても、おいしくかつ体に良いものが常識となりつつある。

「仔牛肩肉のブランケット カリフラワーの香り」「牛肉のラグー」「ポトフ」など、医療機関で提供される食事とはとても思えないメニューの数々。東京都千代田区にあるクリニック・四谷メディカルキューブでは、院内レストラン「ミクニ・マンスール」と病室の入院食で、オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフの三國清三さん監修の料理を食べることができる。

「病気やけがでつらいときこそ、おいしいものが食べたいのに、これまでの病院では食欲のわく食事に出合えませんでした。カロリーや塩分、調理法などさまざまな制限のある病院食を手掛けることは、シェフの世界ではタブーとされていましたが、おいしく美しい料理で健康の手助けをしたいと考えて挑戦しました」(三國さん)

 カロリーの高いイメージがあるフランス料理だが、三國さんは1970年代にフランスで提唱された低カロリーの「キュイジーヌ・マンスール」を基礎に、食材がもつ旨みを生かした料理を開発。旬の素材にこだわり、厳選された国産食材をふんだんに使って「ミクニ マンスール」で提供している。

“ドクターズレストラン”の先駆けとして注目されたこの取り組みは、農林水産省が食料自給率向上を目的に行っている「フード・アクション・ニッポン」プロジェクトの「医福食農連携」の事例の1つに選ばれている。

 同様に、全国各地で医療や介護の分野と国産食材の連携を深めた新しい商品開発やサービスがスタートしている。

 たとえば、北海道の「リハビリ・リンゴ園」では、医師の助言を得ながら、農作業をリハビリとして実施。同園では看護学生や医学生の研修も受け入れ、この研修が縁となりこの2年間で保険師1名、医師2名がこの地域の医療機関に就職もしている。冬期間に作られるジャムは、モンドセレクションで銀賞を獲得。今後も改良を加え、金賞の受賞を目指しているという。

 日本一の長寿県の長野では健康・長寿の発信拠点を目指し「おいしい信州ふーど(風土)」を宣言、ブランドを立ち上げた。新潟県のホリカフーズでは米のたんぱく質を25分の1に減らした真空パック米飯や、10分の1とした魚沼産こしひかり使用の真空パック米飯を開発するなど、地域の食材を使いながら、新しい価値が次々と生まれている。

 農林水産省では、こうした活動を応援し、「医福食農」の連携をさらに強化することで、新たな食の創造を目指している。

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