大前研一氏 東京五輪開催による湾岸エリアの開発停止を懸念

NEWSポストセブン / 2014年3月26日 16時0分

 舛添要一氏が都知事選で圧勝し、2020年の五輪に向かって動き始めた。五輪を起爆剤に経済・産業の新たな展開に期待する声は多いが、大前研一氏は「舛添氏はわかっていない」と切り捨てる。以下、大前氏の解説だ。

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 東京都知事選に圧勝した舛添要一氏は「2020年を史上最高の大会にする」「晴海の選手村は再生エネルギーで運営したい」「オリンピックまでに首都高速の全面改修をする」などと高らかに宣言した。だが、私は悲しくて仕方がない。なぜなら東京を生まれ変わらせる可能性を秘めた貴重な湾岸エリアの土地が2020年までの6年間も“塩漬け”にされてしまうからだ。

 東京都の計画は、晴海に選手村として約5000戸分の中層の建物を造り、オリンピック後はそれを民間住宅にそのまま転用するという矮小なものである。豊洲に移転する築地市場の跡地利用にいたっては、まとまったものは何も決まっていない。

 晴海と築地市場跡地、勝どき、豊洲、そして体操競技場や自転車競技場などのオリンピック関連施設が建設される予定の有明を含めた湾岸エリアは、東京の最後のフロンティアと言える。この土地こそ、真の国際都市として首都を再生させる一大拠点になりうる唯一無二の場所だと思う。

 仮に湾岸エリアを世界中からヒト・カネ・モノ・情報を(オリンピックの約2週間だけではなくずっと、そして毎日)呼び込むための「職住接近24時間タウン」として一体的に再開発すれば、首都の風景は一変するはずだ。

 具体的には、外資系企業が来たくなるような住環境・生活環境・教育環境(高級住宅地、奥さんの仕事場や集まれるコミュニティ、インターナショナルスクールなどの学校、教会など)が整った魅力的な街にする。

 そしてアメリカ・シリコンバレーのスタンフォード大学があるパロアルトのように、斬新なアイデアを持った若者たちと投資家や弁護士、インキュベーターなど起業プロフェッショナル集団との出会いの場となる街にすることを提言したい。

 シリコンバレーから次々と世界的企業が生まれているのは「ふれあいの場」の力があるからだ。チャレンジ精神溢れる人が世界中から集まり、交流するうちにアイデアが生まれて新しいサービスとなり、そして投資機会をうかがうキャピタリストと出会うそうしたサイクルができあがっている場所だと言える。

 そういう場所を東京に作るためには、ゼロから街づくりをすることが必要であり、かつ都心に近いことが重要だ。東京で可能なのは数十万ヘクタールという広大な土地があり、しかも多くが都有地である湾岸エリアしかない。実現すれば、ここからグーグルのような世界を変える企業が生まれることも期待できる。

 そうした都市計画・街づくりの大きなビジョンを打ち出すのがリーダーの役割だと思うが、残念なことに「東京オリンピックのため」というわかりやすくて目立つ話の中でしか再開発プランが語られないのが現状だ。  

※SAPIO2014年4月号

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